こんにちは。@ラジグラです。
最近、Google先生に認められたのか「Radiographica」で検索をするとサイトリンクが作られていて、一番人気の記事が入ってました。記事を更新する時のモチベーションになります!ありがとう、Google!
参考URL Google検索「Radiographica」
今回のテーマは一番人気の記事のはじめに書いてあった印象、ファーストインプレッションから肺気腫までをやりたいと思います。以前に「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の部分とは被るところがありますが、今回のメインは胸部レントゲンにやっていきます。
参考記事 慢性閉塞性肺疾患・COPDとは?画像診断から読み解く
胸部レントゲンの症例提示
読影をする際に、やはり印象というのも大事になる時があります。でも、その印象をどれだけ論理的に裏付けをしていかなければ、印象で終わってしまいます。その印象をしっかり病態から裏付けをして病名を導き出していきましょう!
みなさん第一印象はどうですか?
胸部レントゲンの第一印象は「いつもより黒い印象」
今回の症例の第一印象は「正常胸部レントゲンより肺野が黒く見える」と私は思いました。下肺野は普通、白っぽいイメージなのですが、今回は黒いイメージです。正常の肺と並べてみました。
胸部レントゲンの読影をしていく中で、左右との比較をしていくことが多いですが、このように左右の濃度が同じ(赤丸同士)だと気付きにくい部分だと思います。しかし、今回の症例は印象がそれを補填して異常濃度(いつもより黒い)から疾患まで結びつければ問題ないと思います。普通(正常)はオレンジ丸の様に「下肺野は上肺野よりも濃度が高い(白い)」です。
理由として挙げられるのは重力による血液量です。肺の中でも重力により上肺野より下肺野のほうが血液が多くなります。そのため、下肺野は上肺野よりX線が血液によって減衰が増えてしまいます。右の正常例を見ると上肺野と下肺野では下肺野が白くなっています。左の今回症例は逆に下肺野の方が黒くなっています。
考えられる疾患として「肺気腫」を挙げる
いつもより濃度が低いということはそこには空気が普通よりも多いということがわかります。以前の記事でも使ったイラストを使って肺気腫を説明していきます。
左のイラストは正常時です。正常時になにかしら有害な物質(タバコの煙等)を吸い込んでしまい、肺胞が溶けてしまいなくなってしまったのが右のイラスト。
で、この肺胞がなくなってしまったところが肺気腫となります。ここでX線を照射すると左のように肺胞のある場所と肺気腫の場所で濃度差が出て肺気腫のほうが黒くなります。ともに空気を含んでいますが、肺胞という細胞があるためにX線の減衰差が出ます。
このメカニズムがわかれば、今回の症例の下肺野が正常例よりも黒いのがわかると思います。そしてCT画像を見てみましょう!分かりづらいですが、濃度差が若干あるのがわかると思います。
肺気腫のパターン
肺気腫には3つのパターンが有ります。
- 小葉中心性肺気腫:上肺優位に明確な壁を持たない小葉中心性部分の低吸収
- 汎小葉性肺気腫:下肺優位に二次小葉全体の低吸収
- 傍隔壁型肺気腫:上肺胸膜直下の低吸収
今回の症例は汎小葉性肺気腫になります。他のパターンをCT画像で並べてみました。
もうすこし肺気腫の裏付けをする
濃度差だけでも上のパターンを思わせるものであれば、大丈夫だとは思いますが、もう少し裏付けができるので読影を進めてみます。COPDの記事でも書きましたが、肺気腫は肺の過膨張も特徴の一つに挙げられます。また、肺が過膨張したことにより「横隔膜の平坦化」や「滴状心」も現れてくることがあります。
今回の症例では、後肋骨と横隔膜が交わるのが11番と12番肋骨の間になることより若干、過膨張していることを示唆します。また、過膨張したことにより心臓の陰影が水滴のような形になっているので「滴状心」と読めます。横隔膜の平坦化は横隔膜の端と端を線(赤い線)で結び、その線の中心部分から横隔膜までの距離(オレンジ線)が15mm以下であれば横隔膜の平坦化と言えます。今回の症例は全て満たしていますので過膨張を裏付けし、肺気腫を示していることになります。
参考記事 慢性閉塞性肺疾患・COPDとは?画像診断から読み解く
では、ここらへんで!また!
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カテゴリ: メディカル
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