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イレウス(腸閉塞)を理解して、腹部X線写真(レントゲン)のポイントを押さえる!

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ラジグラ

こんにちは。@ラジグラです。今回のテーマは「イレウス(腸閉塞)」についてやっていこうと思います。

目次

イレウス、腸閉塞を腹部単純X線から考えてみる

急性腹症や検査で言うと腹部X線写真(レントゲン)からCTまで色々とあると思いますが、腹部単純X線写真(レントゲン)から攻めていこうと思います。以前も記事にはしたのですが、腹部X線写真(レントゲン)は難しいですよね。。。本当に

イレウス(腸閉塞)を分類から理解する!

まず、これがないと腹部レントゲンを読影補助するにしても成り立たないので、基礎とは思いますが、やっていこうと思います。あとイレウス腸閉塞って結構同じように感じてしまいますが、「イレウス」と「腸閉塞」をには違いがあります

イレウスを英語で書くと「ileus」で腸管麻痺・蠕動運動傷害・吸収障害によって運動障害があることを意味しています。逆に腸閉塞を英語で書くと「Bowel Obstruction」となり、腸管が機械的・物理的に閉塞したことを腸閉塞としています。現在は、機能性イレウス(腸管麻痺)のみをイレウスとし、機械性イレウスは腸閉塞としています。さらには、急性腹症ガイドライン2015よりここの分類はしっかり定義されています。

イレウス(機能性腸閉塞)
腸閉塞(機械性腸閉塞)
  • 麻痺性イレウス
  • 痙攣性イレウス
  • 単純性腸閉塞(閉塞性腸閉塞)
  • 絞扼性腸閉塞(複雑性腸閉塞)

イレウス(腸閉塞)を画像診断に活かすために

昨今は腹部CT検査がイレウス(腸閉塞)の診断・治療には大きな役割を果たしていると思います。その中で緊急性があるものは、「絞扼性イレウス」になります。なぜ、「絞扼性イレウス」が緊急なのかというと「血行障害」があるために、腸管が死んでしまうからです。さきほどの分類を深堀りしていきます。

機能性腸閉塞

腸管の蠕動運動の障害により通過障害があるもの

  • 麻痺性イレウス(広義)
    • 麻痺性イレウス(競技)
      • 神経性
      • 代謝性
      • 薬剤性
      • 感染性
    • 腸間膜にある血管の塞栓や血栓によるもの
    • 犠牲腸閉塞症(Ogilie症候群)
  • 痙攣性イレウス
    • 中毒
    • 外傷
    • そのほか
機械性腸閉塞

器質的疾患により通過障害があるもの

  • 単純性腸閉塞
    • 血行障害を伴わない
      • 先天性
      • 腸管内宮に原因があるもの(胆石や糞便など)
      • 腸管壁に原因があるもの(腫瘍や感染など)
  • 複雑性腸閉塞
    • 血行障害を伴う(外科的処置が必要になる可能性が高い)
      • 絞扼性腸閉塞
      • ヘルニアの広東
      • 腸軸捻転
      • 腸管結節形成
      • 腸重積

大腸ヒダ(haustra)と小腸ヒダ(kerckring)の違いは?

今回のテーマは腹部単純X線なので、イレウス(腸閉塞)がどこで起きているか?ということを切り分けていきます。鑑別点は「大腸ヒダ(haustra)」がみえるのか「小腸ヒダ(kerckring)」が見えるのかということになります。小腸ヒダのほうが細かく、大腸ヒダのほうが太いイメージです。

ハウストラとケルクリング
ハウストラとケルクリングの違い

また、腹部単純X線でイレウス(腸閉塞)を疑うなら、拡張している腸管のサイズで疑いをかけていきます。

各腸管のサイズ
  • 小腸なら、2.5から3.0cmの拡張
  • 大腸なら、5.0から6.0cmの拡張
  • 盲腸なら、9.0cmの拡張で穿孔を疑う
腸管拡張は3、6、9ルール!
腸管拡張の語呂合わせ

また、立位撮影でニボー(niveau)を確認することが重要と言われていますが、臥位撮影でもガスを追うことで閉塞起点がわかりやすい場合があります。上に提示した左側の臥位の腹部単純X線写真(レントゲン)では、横行結腸から脾湾曲まではガスが認識できるが、S字結腸からは認識できないことよりS字結腸に閉塞起点があることが疑える。遠位側にガスが無くなる部分を閉塞起点と考えます。しかし、機能性腸閉塞か機械性腸閉塞かという鑑別にはどうしてもCT検査が必要になってしまいます。また、臥位撮影では、注意点があります。それは、腸管陰影に影響を与えてしまう因子があり、腹水や寝たきりなどが挙げられます、。蠕動が低下してる状態の患者の場合、ガスが溜まっている(鼓腸)のため参考になりません。

イレウスの代表的なサインはニボー(niveau)!

ニボー(niveau)」はわかりやすいですよね。ニボー(niveau)とは立位腹部X線写真(レントゲン)で腸管の空気と腸管内容物の境が水平の液面形成することを示します。言葉だと難しいですが、写真だとわかりやすいですよね…立位撮影の場合、ニボー(niveau)はわかりやすいですが、閉塞していそうな場所がわかりにくいですね。

ニボー(niveau)
ニボー(nibeau)画像

ニボー(niveau)だけじゃないよ?腸閉塞のサインは

次は、「sentinel loop sign」!これは横行結腸が右から左にほとんど拡大している状態をいいます。これに付随して、「colon cut off sign」というものもあります。「colon cut off sign」は、横行結腸から続くガスが脾湾曲で途絶するサインです。これらのサインは、限局性麻痺性イレウスを示すだけでなく、急性膵炎によっても引き起こされます。では、発生機序を考えていきましょう。

急性膵炎と麻痺性イレウス
sentinel loop signとcolon cut off sign

この横行結腸を支配領域に入れる上腸間膜動脈(SMA)の近くにある膵臓の炎症が波及することで、横行結腸が攣縮を起こすこと(sentinel loop sign)が機序と言われています。そして、攣縮を起こすことで、肛門側へ蠕動を行えず、ガスがなくなってしまうということ(colon cut off sign)になります。同様に、急性胆嚢炎の場合は、右上腹部の腸管拡張、虫垂炎の場合は、右下腹部の腸管拡張がみられることがあります。

特に注意してほしいのは、gasless abdomenだ!

イレウス(腸閉塞)=ニボー(niveau)と連想しがちですが、気をつけてほしいのは、「gasless abdomen」です。言葉の通りガスがない腹部X線写真(レントゲン)です。腸管ガスがないと一見正常とみえてしまうことがこわいところですね!腸管ガスがなくなってしまうのか?というと、嘔吐等によりガスがほとんど排出されてしまい、腸管内が液体で満たされているときになります。特に「gasless abdomen」は絞扼性イレウスが疑われるので、厳重な注意が必要で精査のCTが必要になります。

ということで、今回は「イレウス(腸閉塞)」をテーマに腹部X線写真(レントゲン)中心にやってみました。

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