こんばんは。@ラジグラです。
救急撮影技師などでも役に立つのかわかりませんが、今回は腹部単純レントゲンでわかる腹水（出血等）について簡単なサインをやっていこうと思います。
今回は症例の写真が少ないので申し訳ないです。稚拙なイラストになりますが、最後までお付き合いお願いします。
自分が読影の際に気にしているポイント
先輩技師と腹部レントゲンについて話していたのですが、お互いに話題になったのは深読みしないこと。胸部と違って、なかなか求めている情報が少ない時があるし、サインがないから正常だとはなかなかいいにくい。
その後に後輩と話して腹部レントゲンって結構みるところがわからないということもあり、今回これを記事にしました。なのでシステマチックに順番に見ていくことにしています。
- 異常ガスがないか？（腹腔内外）
→穿孔 - 消化管のガスパターンはどうか？
- 限局的なのか
→絞扼性イレウス - びまん性なのか？ニボー（Niveau）（立位の場合）があるのか？
→単純性イレウス - 腸管ガスが中央へ移行しているか？
→腹水（出血）貯留 - Kerckringヒダが見えているか？
→小腸イレウス - Haustra（ハウストラ）が見えているか？
→大腸イレウス - 肝臓、脾臓、腎臓はどうか？辺縁は見えているか？
→腹水（出血）貯留 - 骨盤内に高吸収像がないか？
→腹水（出血）貯留、婦人科疾患等 - 大腰筋が見えているか？
→腎損傷による出血 - 石灰化病変がないか？
→腎結石、尿管結石、糞石 - Hellmer’s signがあるか？
→腹水（出血）貯留 - 傍結腸溝が開大しているか？
→腹水（出血）貯留
異常ガスについて
これは穿孔しているかということを注視しています。ガスの位置で穿孔箇所も推察出来るので表にしてみました。（あくまで推察ですので遊離ガスみるなら側臥位撮影がいいかと思います）
消化管のガスパターン
やはり、立位だとNiveau（ニボー：液面形成）はよく意識してみていると思いますが、ニボーがあるだけではイレウスには出来ません。閉塞症状がないとだめです。そして、びまん性にある場合は単純イレウス。Gass Lessだったり限局的であれば、絞扼性イレウスを考えます。イレウスと単純にまとめてしまうと間違ってしまうので、Gass Lessでも絞扼性イレウスがあることを考えて下さい。臥位で消化管のガスが中央にまとまる状態であれば液体貯留を示しています。
肝臓、脾臓、腎臓が見えているか？Hellmer’s signがあるか？
普段肝臓外周等は脂肪組織があるために肝臓、脾臓、腎臓の辺縁が見えています。しかし、液体貯留（腹水、出血）によって見えなくなることがあります。肝角徴候とかHepatic angle signとかいいますね。また、Hellmer’s Signとは、肝右葉の外側の液体貯留によって肝辺縁が内側に追跡できるサインのことです。普段は右葉の外側は見えません。
骨盤内の高吸収とDog’s Ear Sign
骨盤でわかるのは、膀胱が膨満しているか、Dog’s Ear Signがあるか。膀胱ではない高吸収領域があれば婦人科疾患を考えますがなかなか腹部レントゲンだけでは厳しいのが現状ですね。。。
下の参考画像は膨満している膀胱の上に三角形のDog’s Ear Signが出ているレントゲンになります。
大腰筋について
大腰筋が普通は見えていますが、見えていない場合は腎損傷による出血を考え、液体貯留があるかもしれません。
石灰化病変について
これはもう単純な話で腎内や尿管に結石がないか、虫垂炎疑いで糞石が見えているか？ということですね。
最後に「傍結腸溝」が開大しているか？
わかりにくいイラストですいません。大腸と壁側腹膜の間を傍結腸溝といいます。そして、正常値は3mm以下なので1cm近く開大しているようであれば液体貯留を考えます。イラストのピンク部分は脂肪層になります。
というわけで腹部レントゲンを読影するというのは本当に深読みしないということですね。いろいろサインがあるけれどサインがないから正常とは言い切れないのが難しい所です。
余談ではありますが小児病院だったらこれが欲しい！
本当に余談なのですが、ネットでCTについて調べていたのですが「子供用CT（PlayScan）」というものがあることがわかりました。実際にはX線は出ないのですが付属のぬいぐるみをガントリーに入れると上についているモニタにイラストの脳、肺などを見せてくれるという代物！こ、これは欲しい！これがあれば子供がもっと検査を理解できて、不安が少しは減るんじゃないのかな？
参考URL 「子供用CT」Creative Arts PlayScan
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