目次
脳出血の発生機序
もっとも一般的には血管の破綻で脳出血を起こすのが一般的であるが、ときに血管奇形(脳動静脈奇形・脳海綿状血管奇形)や腫瘍、脳静脈洞血栓症等が原因になる場合がある。小血管疾患が主と考えられる場合は高血圧性細小血管症や脳アミロイド血管症が挙げられる。
病態
- 出血しやすい領域
- 被殻
- 約80%の脳出血は「高血圧症」が原因
- 好発部位 :基底核(主に被殻)・視床・脳幹(橋)・小脳
- 高血圧症以外の原因
- もやもや病・脳動静脈奇形(AVM)・脳アミロイドアンギオパチー(CAA)・腫瘍性出血・出血性梗塞・脳静脈/静脈洞血栓症・海綿状血管腫・脳動脈瘤・感染性動脈瘤・硬膜動静脈瘻(dAVF)など
手術適応
- 被殻出血:血腫量≧31ml
- 小脳出血:脳幹圧迫・水頭症 直径3cm ≒ 14cm3以上の出血
- 皮質下出血:脳表から1cm以内に存在する出血
ポジショニング時に役に立つ神経学的特徴
スクロールできます
被殻出血 | 視床出血 | 橋出血 | 小脳出血 | |
---|---|---|---|---|
意識障害 | (ー) | (ー) | (+) | (ー) |
運動障害 | 片麻痺 | 片麻痺 | 四肢麻痺 | 運動失調 |
感覚障害 | 対側 | 対側 | 両側もしくは対側 | (ー) |
眼症状 | 患側への偏位 | 内下方偏位 縮瞳・対光反射(ー) | 正中位固定 縮瞳 | 健側への偏位 縮瞳・対光反射(+) 外転神経麻痺 |
その他 | ときに嘔吐 失語(優位半球) | ときに嘔吐 | 呼吸障害 | 嘔吐 めまい |
放射線学的検査について
- CT
-
- 出血の大きさ
- 出血の大きさで手術適応が判断される。
- 30mlを超える血腫は拡大しやすい
- 出血の形状
- 脳出血の形状が不規則な場合は複数の血管による漏出と考えられ、出血の範囲が拡大しやすい
- 気をつけいないといけないサイン
- Swirl sign:出血内に低から等吸収域が認められる場合活動性出血を示す
- Black hole sign:出血内に低吸収域が認められる。上記のSwirl signがカプセル化されていると言われている。高吸収域と低吸収域のCT値の差が28HUあることが定義されている
- Blend sign:出血部内部に低吸収域と高吸収域が隣接しており、CT値の差が18HU以上とされている。低吸収域と高吸収域の間にマージンがある
- Spot sign:CTAで血腫内に造影効果が見られるサイン。血腫増大リスクの増加および予後不良に関連する
- 出血の大きさ
CTで必要な画像
- 単純(Evans Indexなど)
- CTA
- COR画像
- 脳ヘルニア・水頭症の評価(脳梁角 < 90°)
- SAG画像
- 高位円蓋部くも膜下腔の評価(https://www.nagoya-cu.ac.jp/media/20230607press.pdf)
RadioGraphica


脳ヘルニアの評価について | RadioGraphica
脳ヘルニアについて分類から始まり、必要な画像・評価部位について丁寧に解説をしています。診療放射線技師ができることをまとめています。
MRIの必要シーケンス
- DWI(拡散強調画像)
- MRA(出血部含む)
- T1WI(T1強調画像)
- T2WI(T2強調画像)
- T2*WI(SWI撮像するなら省略可)
- SWI(磁化率強調画像)
- 3D T2WI(もやもや病がMRAでわかったなら)
- MRV(硬膜動静脈瘻や脳静脈/静脈洞血栓症なら)
RadioGraphica


脳出血の原因は主に高血圧!放射線技師のできることはSTAT画像報告! | RadioGraphica
CT検査やMRI検査で脳出血に遭遇した際に、診療放射線技師としてできることをまとめてみました。MRI検査における信号強度の経時的変化や必要情報をまとめた記事になります。
画像診断2024年4月号Vol.44 No.5 頭部のCommon diseaseみる非典型的画像所見
私たち診療放射線技師のバイブルになりつつある「画像診断」。STAT画像報告の勉強だけでなく、医師向けに解説をしてくれているので理解度も一気に向上する1冊です。