ラジグラこんにちは。@ラジグラです。今回のテーマは「イレウス(腸閉塞)」についてやっていこうと思います。
- ケルクリング襞(kerckring):小腸のヒダ。腹部X線では、大腸のヒダ(ハウストラ, haustra)より細かいシマシマに見えます。拡張した腸管が小腸か大腸かを見分ける手がかりになります。
- ニボー像(niveau):立位の腹部X線で、腸管内のガスと内容物の境が水平な液面をつくる所見(air-fluid level)。イレウス(腸閉塞)の代表的なサインで、「二ボー」と書かれることもあります。
- 腸管拡張の目安(3・6・9ルール):小腸 3cm、大腸 6cm、盲腸 9cm を超えると拡張と考えます。
- gasless abdomen:ガスが少なくても腸閉塞は否定できません。機能性か機械性かの鑑別も含め、精査には CT が必要です。
- 用語:機械的な閉塞を伴うものを「腸閉塞」、伴わずに腸の動きがなくなるものを「イレウス」と呼び分けます(急性腹症診療ガイドライン)。
イレウス(腸閉塞)のレントゲン(腹部単純X線)で見るポイント
急性腹症や検査で言うと腹部X線写真(レントゲン)からCTまで色々とあると思いますが、腹部単純X線写真(レントゲン)から攻めていこうと思います。以前も記事にはしたのですが、腹部X線写真(レントゲン)は難しいですよね。。。本当に


イレウスと腸閉塞の違い:機能性と機械性の分類
まず、これがないと腹部レントゲンを読影補助するにしても成り立たないので、基礎とは思いますが、やっていこうと思います。あとイレウスと腸閉塞って結構同じように感じてしまいますが、「イレウス」と「腸閉塞」には違いがあります。
イレウスを英語で書くと「ileus」で腸管麻痺・蠕動運動障害・吸収障害によって運動障害があることを意味しています。逆に腸閉塞を英語で書くと「Bowel Obstruction」となり、腸管が機械的・物理的に閉塞したことを腸閉塞としています。現在は、機能性イレウス(腸管麻痺)のみをイレウスとし、機械性イレウスは腸閉塞としています。さらには、急性腹症診療ガイドライン(2015年版と、2025年の第2版)で、この区別がはっきり定義されています。
緊急性が高いのは絞扼性腸閉塞(分類の詳細)
昨今は腹部CT検査がイレウス(腸閉塞)の診断・治療には大きな役割を果たしていると思います。その中で緊急性があるものは、「絞扼性腸閉塞」になります。なぜ、「絞扼性腸閉塞」が緊急なのかというと「血行障害」があるために、腸管が死んでしまうからです。さきほどの分類を深堀りしていきます。
- 機能性腸閉塞
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腸管の蠕動運動の障害により通過障害があるもの
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- 麻痺性イレウス(広義)
- 麻痺性イレウス(狭義)
- 神経性
- 代謝性
- 薬剤性
- 感染性
- 腸間膜にある血管の塞栓や血栓によるもの
- 偽性腸閉塞症(Ogilvie症候群)
- 麻痺性イレウス(狭義)
- 痙攣性イレウス
- 中毒
- 外傷
- そのほか
- 麻痺性イレウス(広義)
- 機械性腸閉塞
-
器質的疾患により通過障害があるもの
-
- 単純性腸閉塞
- 血行障害を伴わない
- 先天性
- 腸管内腔に原因があるもの(胆石や糞便など)
- 腸管壁に原因があるもの(腫瘍や感染など)
- 血行障害を伴わない
- 複雑性腸閉塞
- 血行障害を伴う(外科的処置が必要になる可能性が高い)
- 絞扼性腸閉塞
- ヘルニアの嵌頓
- 腸軸捻転
- 腸管結節形成
- 腸重積
- 血行障害を伴う(外科的処置が必要になる可能性が高い)
- 単純性腸閉塞
ケルクリング襞(小腸)とハウストラ(大腸)の違い
今回のテーマは腹部単純X線なので、イレウス(腸閉塞)がどこで起きているか?ということを切り分けていきます。鑑別点は「大腸ヒダ(haustra)」がみえるのか「小腸ヒダ(kerckring)」が見えるのかということになります。小腸ヒダのほうが細かく、大腸ヒダのほうが太いイメージです。
また、腹部単純X線でイレウス(腸閉塞)を疑うなら、拡張している腸管のサイズで疑いをかけていきます。
- 小腸なら、3cmを超えると拡張
- 大腸なら、6cmを超えると拡張
- 盲腸なら、9cmを超えると拡張
また、立位撮影でニボー(niveau)を確認することが重要と言われていますが、臥位撮影でもガスを追うことで閉塞起点がわかりやすい場合があります。上に提示した左側の臥位の腹部単純X線写真(レントゲン)では、横行結腸から脾湾曲まではガスが認識できるが、S字結腸からは認識できないことよりS字結腸に閉塞起点があることが疑える。遠位側にガスが無くなる部分を閉塞起点と考えます。しかし、機能性腸閉塞か機械性腸閉塞かという鑑別にはどうしてもCT検査が必要になってしまいます。また、臥位撮影では、注意点があります。それは、腸管陰影に影響を与えてしまう因子があり、腹水や寝たきりなどが挙げられます。蠕動が低下してる状態の患者の場合、ガスが溜まっている(鼓腸)のため参考になりません。
ニボー像(niveau)とは:立位X線での水平な液面形成
「ニボー(niveau)」はわかりやすいですよね。ニボー(niveau)とは立位腹部X線写真(レントゲン)で腸管の空気と腸管内容物の境が水平の液面形成することを示します。言葉だと難しいですが、写真だとわかりやすいですよね…立位撮影の場合、ニボー(niveau)はわかりやすいですが、閉塞していそうな場所がわかりにくいですね。
sentinel loop sign と colon cut off sign(急性膵炎)
次は、「sentinel loop sign」と「colon cut off sign」です。sentinel loop(センチネルループ)は、おなかの中の炎症の近くにみられる、短い範囲の麻痺性の腸管拡張(限局性の麻痺性イレウス)です。炎症がある場所の手がかりになりますが、それだけで診断できるサインではありません。colon cut off signは、横行結腸までの結腸がガスで拡張し、そのガスが脾湾曲で急に途絶えて、それより先の結腸がしぼんでいるサインです。どちらも急性膵炎でみられることがあります。では、発生機序を考えていきましょう。
colon cut off sign は、膵臓の炎症が横行結腸間膜を通って、脾湾曲の近くにある横隔結腸間膜へ広がることで起こると説明されています。同じように、上腹部の sentinel loop は急性膵炎や急性胆嚢炎、右下腹部の sentinel loop は虫垂炎などでみられることがあります。
gasless abdomen:ガスがなくても腸閉塞は否定できない
イレウス(腸閉塞)=ニボー(niveau)と連想しがちですが、気をつけてほしいのは、「gasless abdomen」です。言葉の通りガスがない腹部X線写真(レントゲン)です。腸管ガスがないと一見正常とみえてしまうことがこわいところですね!腸管ガスがなくなってしまうのか?というと、嘔吐等によりガスがほとんど排出されてしまい、腸管内が液体で満たされているときになります。「gasless abdomen」は小腸の腸閉塞や腸管虚血などでもみられるため、ガスが少ないからといって腸閉塞を否定することはできません。厳重な注意が必要で、精査のCTが必要になります。
ということで、今回は「イレウス(腸閉塞)」をテーマに腹部X線写真(レントゲン)中心にやってみました。
よくある質問
- ケルクリング襞(ケルクリングひだ)とは?ハウストラとの違いは?
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ケルクリング襞(kerckring)は小腸のヒダで、腹部X線では細かいシマシマに見えます。大腸のヒダ(ハウストラ, haustra)はそれより太く見えます。拡張した腸管にどちらが見えるかで、閉塞が小腸か大腸かを切り分けます。
- ニボー像とは何ですか?
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立位の腹部X線写真で、腸管内のガスと内容物の境が水平な液面をつくる所見です(air-fluid level)。イレウス(腸閉塞)の代表的なサインです。ただし立位ではニボーはわかりやすい一方、閉塞している場所はわかりにくいことがあります。
- イレウス(腸閉塞)のレントゲンではどこを見ますか?
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①腸管の拡張(小腸 3cm・大腸 6cm・盲腸 9cm を超えるか:3・6・9ルール)②拡張した腸管に見えるヒダがケルクリング襞かハウストラか ③立位でのニボー ④臥位でガスが途絶える部分(閉塞起点)を確認します。機能性か機械性かの鑑別には CT が必要です。
- イレウスと腸閉塞の違いは?
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腸閉塞(bowel obstruction)は腸管が機械的に閉塞した状態、イレウス(ileus)は機械的な閉塞がなく、腸の蠕動や運動がなくなることで起こる状態です。急性腹症診療ガイドライン(2015年版、2025年の第2版)でこのように区別されています。
- ガスが少なければ腸閉塞は否定できますか?
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できません。嘔吐などでガスが出て腸管内が液体で満たされると、ガスのほとんどない「gasless abdomen」になり、一見正常に見えます。小腸の腸閉塞や腸管虚血でもみられるため、精査の CT が必要です。
参考文献
- 日本腹部救急医学会ほか. 急性腹症診療ガイドライン2025 第2版. 医学書院; 2025.
- Radiopaedia. 3-6-9 rule (bowel)
- Radiopaedia. Sentinel loop
- Radiopaedia. Colon cut-off sign
- Radiopaedia. Gasless abdomen






