こんばんは。@ラジグラです。
以前、胸部レントゲンで縦隔も大切だという記事を書きました。これは胸部レントゲンに限ったことではなく、胸部CTでも同じです。
特に胸部レントゲンでは気付きにくい扁平上皮癌などCTでは早い段階から分かる場合があるのでそれについてすこし記事にしていこうと思います。
参考URL [肺シリーズ4]胸部レントゲンで縦隔を見ることも大事!
今回のテーマは症例から画像をどう見るか、どう処理するか、そして気管についてやっていきます。
症例提示:胸部レントゲン
まず、読影しましょう。読影方法は以前の記事の方法でやってみてください。
参考記事 [必見]これが私のする胸部レントゲンの読影方法だ![完全保存版かも]
肺紋理を見るときに「右3、3、3」と見るのですが、明らかに肺紋理とは別の太い腫瘤影が認められたと思います。しかも、肺門にかなり近いこともわかります。私は「右中肺野(S3周辺)肺門部に隣接する腫瘤影で扁平上皮癌、小細胞癌疑い」と読みました。これだけ大きければ問題なく発見出来ると思います。そして、CTと摺り合わせをしましょう。
胸部レントゲンと同レベルでは精密検査の意味がない!
CT画像からもわかるようにちゃんと肺門部に腫瘍がありました。見つけておしまいではなく今の段階では胸部レントゲンと変わらない結果になりますのでせっかくの精密検査の意味が薄れてしまいます。他のスライスも提示します。
どうでしょうか?まず、肺野条件で気管支の塞栓を認め、それを裏付けるように肺区域抹消部分に閉塞性肺炎が認められます。縦隔条件では、リンパ節の腫大が認められます。気管分岐部のリンパ節は#7です。腫瘤自体は分葉状で空洞化は認めません。発育形態は圧排様に見えます。スピキュラに見える部分はおそらく肺動静脈の脈管の一部と思います。空洞化があれば、小細胞癌ではなく扁平上皮癌と鑑別出来ますが、今回の症例ではわかりません。しかし、小細胞癌では線毛細胞が残るので閉塞性肺炎にはなりにくいということから今回は扁平上皮癌が有力と考えます。線毛については下の記事を参考にどうぞ!
参考記事 [新人必見][肺シリーズ3]肺疾患を理解、読影するための肺の解剖!ラストスパート!
「右S3領域、肺門部に充実性で圧排性発育の分葉状腫瘤影を認めます。気管支が閉塞しているため抹消肺区域に閉塞性肺炎が認められます。リンパ節#7を始め他にもリンパ節の腫脹を認めます。鑑別診断では、扁平上皮癌と小細胞癌が挙げられますが閉塞性肺炎があることより扁平上皮癌が有力と考えます。」
ここまで来たらもう癌を十分に疑って、医師に自信を持って伝えましょう!そして、画像にもう一工夫を入れて下さい。それは骨条件。扁平上皮癌の遠隔転移は少ないですが、小細胞癌は遠隔転移が多いのでせめて骨条件だけでもつけて骨転移をみましょう!!
10ヶ月前に胸部レントゲンと胸部CTを施行していた
今回の症例は10ヶ月前にも検査をやっていました。それも合わせて提示します。
これだとほとんどわかりません。10ヶ月前の赤い円の中にある結節影様を拾えたら、最高だとは思いますがこの段階では肺動静脈の脈管径と同じなので言い切れません。
では、胸部CTも見てみましょう!どうですか?おそらく比較しても腫瘤影は認められません。
胸部CTだと特に気管支を忘れがち!
今回の症例で本当に言いたいことは、「胸部CTで肺だけ見るのはダメ!縦隔も気管も見て!」ということです。実をいうと自分は10ヶ月前の胸部CTで見つけました。
もう一度比較のCT画像を出します。
どうでしたか?気管分岐部にしっかり肥厚像が認められますよね?これをちゃんと見つけないと下手すると見落とすのでぜひ、これを教訓に胸部CTでは気管もしっかり見て下さい!
では、ここらへんで!
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カテゴリ: メディカル
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