こんにちは。@ラジグラです。最近、勉強会が週末にごっそり入っていてなかなか更新が出来ていないのです。すいません。
今回のテーマは孤立性肺野結節(SPN)についてです。日本CT検診学会でガイドラインがあり、とてもわかりやすいので参考URLを載せておきます。そして、見てもらうとわかるのですが精密医療機関の「solidで10mm以上は確定診断してください」とあるんですね。10mmって小さくて判断に困るのでしっかりポイントを押さえたいですね!
参考URL 低線量マルチスライスCTによる肺がん検診:肺結節の判定と経過観察図 2013年5月追加改訂
孤立性肺野結節(solitary pulmonary nodule:SPN)の判断
胸部レントゲンを読影していると結構「Coin Lesion」と呼ばれる孤立性肺野結節(SPN)を見つけることが結構あります。下に「Coin Lesion」の胸部レントゲンを出しました。肺野型肺がんは基本、充実型と含気型にわかれますが、「Coin Lesion」は充実型になります。一方、含気型は胸部レントゲンでは発見が困難な場合が多いです。肺胞虚脱や線維化など二次変化があることで精度を高めることが出来ます。2年ぐらいさかのぼって増大傾向がない場合は、CTは不要と言われています。
もちろん胸部CTでフォローアップがあるときもあれば、健診でCT検査単体でSPNを見つけることがあると思います。過去画像がないと判断に迷うことが多々あると思います。基本的にSPNは3cm未満でリンパ節腫大や胸水がないものをいいます。そして、3cmを超えるものになると悪性の割合が増えてきますのでしっかりと見極めていかないといけません。
上の「Coin Lesion」のCT画像になります。画像診断ガイドラインには「肺結節の場合には、病変部を含むthin sectionの連続スキャンが望ましく、結節の全体にわたる観察を可能にするように撮影することが望ましい」との記述もあります。評価に使う画像をしっかりリコンすることが技師のできることと思います。
SPNがあった場合は、以下の点についてチェックをしていきます。
- 辺縁の評価
- 脂肪濃度の有無
- 石灰化の有無
- 空洞化の有無
- 造影剤の増強効果の有無
辺縁や辺縁の血管と空洞化を評価する
胸部レントゲンでは占拠部位や倍加時間など過去と比較することで鑑別をしていきますが、どうしても迷いがちでCTになると思います。一応、鑑別の指標をまとめてみましたが見て分かるようにとてもわかりにくく曖昧。。
参考URL 倍加時間とは?
では、胸部CTではどうかというと辺縁の評価については以前、記事にしたのですがもう一度まとめてみました。症例は全部結節が大きいですが、小さくても同様に考えていけばいいと思います。左上は空洞化の壁を見てください。壁が厚ければ悪性に近くなります。右上は圧排性に発育している結節で辺縁は鮮明で周りの脈管を押しています。左下は一番わかりやすいと思います。スピキュラで辺縁不整ですね。右下は分葉状になっていて、「Notch(くぼみ)」があります。辺縁評価は重要な項目になります。
参考記事 肺紋理を覚えると胸部レントゲンの読影が楽になる!
石灰化や脂肪の有無について
石灰化や脂肪についてはもうCT値を測るのが一番です。石灰化のCT値の目安は100HU以上、脂肪のCT値の目安は-40から-120HUとなります。
過誤腫は脂肪が含まれていること、ポップコーン状の石灰化が特徴になります。他に良性の石灰化はリング状、結節の中心にあるもの(中心性)が挙げられます。しかし、石灰化だけで良性と結びつけないよう結節の辺縁評価と合わせてみることが必要です。他には石灰化が占める割合が10%以上あることも良性の割合が増えてきます。しかし、悪性でも石灰化はありますので注意しましょう!下のイラストから分かるように石灰化の横で発癌した場合、石灰化を含むことになります。その場合は中心性がなくなることが多いです。
SPNの造影について
造影の増強効果についてですが、「Swensonらの報告では、CT値が15HU以上より上昇しなければ良性の可能性が高い」とあり、感度98%、特異度58%、正確度77%となっています。これを指標にして造影前と造影後でCT値の比較をしましょう。下の症例では15HU以上CT値が上昇しています。
原文は以下のURLから見てみて下さい。原文から一部抜粋して表を作りました。これから感度、特異度を出しています。
しかし、自分は感度と特異度だけでその検証を考えるのは、良くないと思っています。間違った解釈になるので。そして、これを陽性的中率と陰性的中率も合わせて計算しました。陽性的中率などの統計学については記事にしたいと思います。
「Swensonらの論文」から陰性的中率(96.4% > 68.2%)が高いことがわかります。つまり、「肺がんでないものは15HU以下で96.4%で当たるということ(陰性的中率)」と「肺がんで15HUよりも大きいのは68.2%(陽性的中率)」を理解するなら、ここは数字の大きい陰性的中率に重きを持ったほうがいいと思います。でも、陽性的中率も十分に高いですけど。ということで「15HUより大きいと悪性を疑う」より「CT値が15HU以上より上昇しなければ良性の可能性が高い」と覚えましょう!
参考URL Lung Nodule Enhancement at CT: Multicenter Study 1
今回はSPNの鑑別についてやりましたが、結構技師でできること(CT値を測った画像を作るなど)がたくさんあったと思いました。
では、今回はここらへんで!
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カテゴリ: メディカル
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