こんにちは。@ラジグラです。今日は臨床に戻りますね!久しぶりの「肺シリーズ」です。タイトルからわかるように「結核」です。今回の記事は、画像所見だけでなく統計もやるので長いです!
結核の基礎や動向について
画像をやる前に基礎的なお話しをしていきます。日本では肺結核は減少傾向にあります。疫学情報センターよりデータをお借りしてグラフを作成しました。下の図を見るとわかると思いますが、新登録結核患者は2万人をきってきました。登録率(人口10万人に対して)も16人になりました。
しかしながら、世界と比べると日本は圧倒的な「結核中進国」になります。
原因はいろいろと言われていますが、ここでは割愛しますね!
結核菌の感染経路について
結核菌は飛沫感染とよく言われますが、「飛沫核感染」になります。百日せきやマイコプラズマ、インフルエンザは飛沫感染にあたります。
感染者の咳などで出た病原体を含む飛沫を直接吸入することで感染が成立します。「飛沫核感染」は結核症の他に麻疹(はしか)、水痘があります。違いはなにかというと結核菌は乾燥に強く菌の周りの水分が蒸発して乾燥しても菌は死滅しません。つまり、感染能力を保持していることになります。
感染者が咳として結核菌を出して、感染者がいなくなっても結核菌は乾燥に耐えて空中を浮遊していることになります。浮遊している結核菌を吸入して感染が成立します。ちょっとした違いですけど、スタンダードプリコーションとしては大切な知識だと思います。
結核症の種類
みなさんも知っているように結核はいろいろなところになります。代表的なものが「肺結核」になります。他には以下のものが挙げられます。
- 結核性髄膜炎
- 頸部リンパ節結核
- 粟粒結核
- 結核性胸膜炎
- 腎結核
- 骨関節結核(脊柱カリエス等)
- 皮膚結核
肺結核のカテゴリー:一次結核について
カテゴリーをやると同時にどのように結核が体内で巣を作るのかもやっていきます。まず、飛沫核感染により体内に入ってきます。感染初期は胸膜直下(末梢肺)に初感染原発巣が出来ます。滲出性の病変が形成されます(下で解説します)。感染し滲出性の病変が出来るとマクロファージが閉じ込め闘ってくれます。しかし、マクロファージが取り込むことにより肺門リンパ節に病巣が出来ることが多くあります。そして、被包化、石灰化を経て肺尖に移動していきます。よく聞きますよね、肺結核の好発部位は肺尖部!多くは人間の体の免疫に勝てず休眠状態になります。しかし、全身状態と悪い入院患者はここで発症してしまいます。そして、静脈角リンパ節を経て血流に乗って全身に広がり、粟粒結核を発症します。この時のカテゴリーを一次結核症といいます。血行転移をしているので淡い粒状の陰影がランダムに見えることが粟粒結核の特徴になります。
案外、新人技師さんだとこれを知らなかったりするので一応、静脈角リンパ節の説明をしていきますね!リンパ系は静脈で回収しきれない組織液やリンパ球などをリンパ液として集めます。その大部分が鎖骨下静脈・内頸静脈の合流部で体循環(動静脈)に戻ります。解剖は下にイラストを載せておきます。イラストの赤が動脈、青が静脈、緑がリンパ系になります。見事にリンパ系が静脈に刺さっていますね!
肺結核のカテゴリー:二次結核について
一次があるということは二次もあります。一次結核症として発症しなかったものは休眠状態で体内に残っています。ここでなにかの拍子に免疫が下がってしまうと休眠していた結核菌が活動を始めます。このときに発症すると二次結核症といいます。ほとんどの結核はこの二次結核症になります。好発部位は肺尖部やS6になります。
肺結核の進展と治癒から画像所見を考える
「結核病学概説」より抜粋させていただきましたが、下の画像が結核の病期に対する進展と治癒を表したものになります。
大事なのは
- 滲出性病巣
- 浸潤乾酪巣
- 非硬化壁空洞
- 硬化壁空洞
という4つの肺結核の形状がわかっているということ。では、画像所見とあわせて行きましょう。
- 滲出性病巣 → Consolidation、すりガラス影
- 浸潤乾酪巣 → 粒状影
- 非硬化壁空洞 → 粒状影(空洞化)
- 硬化壁空洞 → 粒状影(空洞化)
ということになります。病期によって画像所見が変わるのでとてもやっかいですが、基本的に粒状影が多いです。そして、イラストを見ると不完全な被包化病巣と非硬化壁空洞と硬化壁空洞は下に向かって棒が出ています。肺結核が気管支内に進展していることを示しています。つまり、このブログでよくやる小葉中心性結節(Tree in bud)も画像所見として挙げられます。
というわけで今日はここまで!最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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カテゴリ: メディカル
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