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MRIの拡散強調画像(DWI)はこれを知っていると脳梗塞や癌の診断に色々と便利だ!

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こんにちは。@ラジグラです。
最近、拡散強調画像(DWI)はいろいろなところで活用されはじめて、自分もこれをネタに学会発表もしたんですが、もっと若い人にも数式とか抜きで活用出来ないかなと思い、記事を書きました。さらには、東京都診療放射線技師会の勉強会で、一部画像を使用していただき、この記事も役に立っているんだなと実感しました!使ってくださった方ありがとうございます。

今回のデーマは少しMRIの深いところに突っ込むことを回避しつつ、画像とイラストから拡散強調画像(DWI)を知ってほしいという難儀な記事を書こうとしたので書くだけで4時間も費やしてしまった。

そもそも拡散強調画像(DWI)ってなに?

拡散強調画像(DWI)は水分子の自己拡散(ブラウン運動)を画像化したもので、それを定量化したものがADC-mapといいます。拡散強調画像とADC-mapは必ずセットで使うのが大原則です。さて、自己拡散(ブラウン運動)がわからんということになるのですが原理は抜きにして自己拡散(ブラウン運動)というのは、水分子が動きやすい(拡散しやすい)か動きにくい(拡散しにくい)かということと思って下さい。言い換えると「動きやすい」=「制限されていない」、「動きにくい」=「制限されている」となります。動きにくい(制限されている)というのが重要なので、これがDWIでは高信号、ADCでは低信号となります。また、DWIはT2強調画像(T2WI)がベースになっていて、T2WIにMPG(傾斜磁場)をかけたものがDWIになるというのも忘れないください。
拡散強調画像(DWI)の自己拡散(ブラウン運動)
そして、動きにくいパターンを覚えてしまえば、DWIは簡便に使えるひとつの指標となります。パターンは以下の3つになります。

  • 粘稠度
  • 細胞内液、細胞外液のバランス
  • 細胞密度

では、順繰りと説明していきます。

粘稠度が高いから制限される

これは想像がしやすいと思います。さらさらの液体の中での動きやすさとドロドロの粘稠度の高い液体の中での動きやすさは、だれが考えても粘稠度の高い方が動きが制限されるのがわかりますよね。粘稠度が高ければ、DWIは高信号になります。クモ膜嚢胞と類表皮腫で迷った時は、DWIを使って高信号になったほうが、「類表皮腫」と鑑別できます。髄芽腫と上衣腫ではDWIを使って「髄芽腫」が高信号になります。
拡散強調画像(DWI)と粘稠度

細胞毒性浮腫(細胞浮腫)が起きたとき制限される

左が正常時で右が細胞毒性浮腫(細胞浮腫)が起きた時の組織イラストになります。この時のポイントは、細胞外腔にある水分子になります!正常時は細胞外腔(黒枠の中の白い部分)がある程度の大きさがあるので水分子は動きやすい状態です。しかし、細胞浮腫が起こることにより、パンパンに浮腫が起きます。すると正常時よりも細胞外腔が狭くなっていますよね?狭くなったことにより細胞外腔にある水分子は動きにくくなるのがわかると思います(オレンジの矢印)。
細胞外腔が狭くなった細胞毒性浮腫
この原理を使って脳梗塞がT2WIで高信号になる前の急性期脳梗塞の段階で高信号に反応します。
 参考記事  [新人必見]ついでだ!簡単に脳梗塞(CTとMRI)の経時的変化を覚えられる方法

がんなど細胞密度が高い組織の時

これも下のイラストを使ってやっていきます。先ほどと同じように細胞外腔の水分子の動きに注目してください。右の細胞密度が高い方は上でもあったように細胞がたくさんあることにより、細胞外腔が狭くなり、動きに制限がかかりやすくなってしまいます。そのため、がんなどがんなど細胞密度が高いものはDWIでは、高信号、ADC-mapでは、低信号になります。
がんなど細胞密度が高いとDWIは高信号

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気をつけないといけないT2 Shine Through

DWIをやっていると簡便でわかりやすいのが特徴ですが、頭部で高信号になったらなんでも脳梗塞!とか思わないでくださいね。その理由として、T2 Shine Throughという現象が起きてしまっていると誤認してしまいます。なので、常にADC-mapとセットで考えるようにしてください。理由として、前述したようにDWIの画像はT2WIがベースにあるため、T2延長を起こすとDWIは高信号になってしまいます。その際にちゃんと確認してほしいのがADC-mapです。T2 Shine ThroughになるとADC-mapも同様に高信号になっているのでT2延長がすぐにわかるようになっています。

どんな時にT2 Shine Throughになるのか?

これは血管性浮腫になった場合です。下のイラストのように組織が血管性浮腫を起こすと組織自体が大きくなり、細胞外腔(黒枠内の白)が広くなることで拡散しやすくなります。拡散がしやすいということはADC-mapは「高信号」になります。(上図参照)そして、細胞外腔が大きくなったことにより細胞外液量自体も増えていますので、T2延長が起こり、DWIが高信号になってしまうという原理です。
血管性浮腫はT2 Shine Throughのお手本

では、まとめです。
DWIで高信号になるのは

  • 粘稠度が高い時
  • 細胞毒性浮腫(細胞浮腫)が起きた時
  • 細胞密度が高い時

で、気をつけることは「T2 Shine Through」があるということです。代表例は血管性浮腫となります。
では、このへんで!

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