
臨時で回ってきたMRI当番!最高!定時に上がれたんですよー



おっ!仕事はやいねーいつもMRIでは死ぬほど残業してたのにw



だって、計算式わかったからETLフルMAXで時短ですー楽勝!



えーー( *`ω´)MRI検像してくるー!
ETLがいつも正義とは限らない!
MRIの記事で以下の計算式をもとにFSE法の基礎、ETL(エコートレイン)で時間短縮できるということを解説をしました。時間短縮というメリットがあれば、MRIでは常にデメリットがつきまとってきます。
- SNR(信号対雑音比 signal-to-noise ratio)が低下します
- ブラーリング(ぼけ)の増加
- MT効果により脂肪信号が高くなり、コントラストが低下
- jカップリング効果により脂肪信号が高くなり、コントラストが低下
ETLを増やすデメリットが多くなってしまうとMRI初心者は「果たして増やしてなにが得になるんだろうか?」となり、使いどころがわからなくなります。今回は使いどころを解説していこうと思います。
押さえるキーはエコースペーシング
さて、ETLを増やすということは撮像時間を減らすことができ、トレードオフとしてSNRが下がってしまうなどがあるということがわかりました。ここで考え方をひとつ組み入れてみます。ETLを増やすことで撮影時間以外のメリットが考えられ、トレードオフとなるデメリットを上回るメリットができれば、ETLを増やすという考えです。もう一度ETLを復習していきます。


上にFSE法のシーケンスチャートを簡易的に書きました。ここでキーになってくるのは「エコースペーシング(Echo Spacing)」です。ETLを1個増やすと90°パルスと90°パルスの間に180°パルスとEchoがはいり、エコースペーシングが短くなります。逆にETLを1個減らすとエコースペーシングは広がります(下図参照)。


では、このエコースペーシングが可変することはどういうことか?エコースペーシングが短いということはエコーを収集するタイミングが早くなったということになり、フローアーチファクトやモーションアーチファクトを軽減できるということになります。要はシャッタースピードが早くなったと考えればいいわけですね。
ETLを増やすことで、アーチファクト低減に繋がるケースがある
恩恵はk空間の埋め方に関係してくる
ETL増減による恩恵があるということがわかりましたが、エコースペーシングが短くなる、長くなるという挙動をさせるには1個条件があります。それはk空間の埋め方に依存しているということです。下のFSE方はETLが5です。そして、TEが3番目のEchoになっていますのでk空間は上から詰めている「sequential」(linear)ということもわかります。


上のFSE法ETL5でsequential(linear)を変化させます。ETL3にしたのが下の図になります。ETLを減らしたことでエコースペーシングがしっかり伸びましたが、TEは変わりませんでしたので、画像のコントラストも変化がありません。ここが条件(キー)になってきます。


今度は「centric」(low-high)でおなじことをやってみます。centric(low-high)なので、TEは一番はじめのEchoになります。


では、こちらもETLを3にしてみます(下図)。見てわかるようにETLは減りましたが、エコースペーシングは変化がありません。centricの場合は、「TE = エコースペーシング」となるため、画像コントラストを変えてしまうために注意が必要となります。


k空間の埋め方を確認しながら、ETLを動かすことが大事!特にcentric(linear)の場合は、TEの確認を!
ETL増減のまとめ
今回はETLにフォーカスした記事でETL増加のつかいどころを解説していきました。ETLは簡便に時間短縮やアーチファクト低減効果を狙えるパラメーターでもあるので押さえどころさえわかれば強い味方になります。
- ETLのデメリットを埋めるほどの効果がある場合はETL増加の理由になる
- ETL増加でエコースペーシングが変化する
- sequential(linear)の場合は、ETL増加でアーチファクトの低減を狙うことができる
- centric(low-hight)の場合は、ETL増加でTEが動いてしまう可能性があるので確認をする



思ってたよりETL増やしてないから画質担保されてたわー危なかったわww



エコースペーシングとTEの関係知らなかったわーw



知ってたwそれw



(なにそれ…)