こんにちは。@ラジグラです。
前回から脳梗塞シリーズを再開させているのですが、最後の砦となる「ラクナ梗塞」と「分枝粥腫型梗塞(BAD)」をやっていこうと思います。脳梗塞だけでシリーズも4弾まで来ました!
参考記事 [脳梗塞第1弾]もっと頭部に強くなろう!脳梗塞を基礎から覚えよう!
参考記事 [脳梗塞第2弾]心原性塞栓症(脳梗塞)の特徴と発生機序を掴む!
参考記事 [脳梗塞第3弾]アテローム血栓性脳梗塞のポイントは?
ラクナ梗塞のメカニズム
まずはラクナ梗塞をやっていきます。MRI検査やCT検査で頭部撮像をしている技師の方々はほぼ毎日見ているのではないでしょうか?そのためかラクナ梗塞の認知度は高く、理解度も高いと感じています。なので今更的な内容にはなると思いますが、よろしくお願いします。ラクナ梗塞を狭義の意味でのメカニズムからやっていきます。
上のイラストの右側にラクナ梗塞のメカニズムを書きました。前の記事でお伝えした穿通枝にリポヒアリン変性が起きて血管が閉塞します。このリポヒアリン変性の原因は高血圧が挙げられます。梗塞の大きさの定義は15mm以下となっています。また、あまり自覚症状がないのも特徴のひとつで理由としては白質(皮質)での梗塞ではないので症状が出ていないことが挙げられます。しかし、穿通枝は視床、尾状核、内包、被殻、淡蒼球を栄養していますので例に挙げた5つの部分で梗塞が起きると症状が出てきます。では、症例提示をしますが、手元の症例集に急性期のDWIがなく、陳旧性になってしまいました。ご了承ください。
上の画像で一応「?」を付けました。理由はまだMRIを始めたばかりの技師さんでT2強調画像で大脳基底核(被殻、尾状核、淡蒼球、視床下核等)部分に高信号を見つけるとなんでもラクナ梗塞にしてしまうからです。急性期ならDWIで高信号になるのであまり間違わないのですが、陳旧性のラクナ梗塞を間違えることがよくあります。しっかり判断するためにはT1強調画像とFLAIR画像を見なくてはいけません!
まず、左の尾状核の下にあったものから判断をしていきます。FLAIRを見ると周囲に高信号を認め、T1強調画像だとT2強調画像で高信号だった部分は低信号になっています。FLAIRで周囲に高信号ということは陳旧性脳梗塞ということを表しますので、こちらはラクナ梗塞で問題ありません。では、右の内包後脚辺りのものをみましょう!
こちらは、上と同様にT1強調画像では低信号です。しかし、FLAIRでは周囲に高信号を認めません。つまり、高信号がないということは陳旧性脳梗塞がないことになります。では、このT2強調画像の高信号はなんでしょうか?これは血管周囲腔といって、血管の周りの隙間でそこに脊髄液があるのでT2強調画像で高信号になりました。しっかり鑑別をしていきましょう!
他のラクナ梗塞のメカニズム
さて、第一弾の記事ではラクナ梗塞は、塞栓性や血栓性、血行力学的という分類にも属していました。脳梗塞シリーズを読んでいただいてる方はほとんど意味が分かると思います。一応再掲しておきますね!
分枝粥腫型梗塞(BAD)とは?まずはメカニズムを!
タイトルにもあった分枝粥腫型梗塞(BAD)に移りたいと思います。これは一応、分類では狭義的な意味のラクナ梗塞には含まれません。画像所見はとても似ていますが、狭義的な意味のラクナ梗塞よりダメージが大きいです。
左にラクナ梗塞を比較用に載せました。なにが違うか?ということになりますが、穿通枝の起始部で塞栓を起こし、頭尾方向の穿通枝領域で虚血を起こしてしまうことが違います。つまり、ラクナ梗塞のリポヒアリン変性で穿通枝の末端部分のみが脳梗塞になるではなく穿通枝全体の領域で脳梗塞が起きます。画像的にはラクナ梗塞のような小さい梗塞が数スライスに渡ってつながっているということになります。では、分枝粥腫型梗塞(BAD)の症例提示になります。
分枝粥腫型梗塞(BAD)の症例提示
症例はDWI画像になりますが、3スライスに連続的に同部位で高信号を認めます。つまり、このような場合はラクナ梗塞ではなく分枝粥腫型梗塞(BAD)といいます。なぜ、鑑別をしなくてはいけないかというと、これはアテローム血栓性梗塞の治療をしなくてはいけないからです。やはり、鑑別って大事ですね!最後になりましたが、読み方は分枝粥腫型梗塞と書いて「ぶんしじゅくしゅがたこうそく」と読みます!
さて、脳梗塞シリーズもこれで一旦締めくくりですね!最後まで読んでくださった方ありがとうございます。では!
[amazonjs asin=”4895927296″ locale=”JP” title=”ここまでわかる頭部救急のCT・MRI”]
カテゴリ: メディカル
現在の価格: 無料