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おいしいとこどり!ダミーパルスを使ったETL活用方法

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新人技師

なんかETL使って時短してるけど、画像が納得いかないんだけど!

ラジグラ

おっ!いいとこ攻めてるじゃん!

新人技師

なんかコントラストが悪すぎ!ってかなんとかして!

ラジグラ

常にトレードオフだからねーちょっと時短&ちょっと画質低下で行こっか!

目次

ETLを極端に増やすとコントラストが低下する

ETL(エコートレイン)を増やすことで1回のTR内で収集回数が増加するために、全体の撮像時間を短縮する効果が見込めます。そのため、緊急の飛び込み検査が入ったときには使ってしまったり、収集回数が増えたことでエコースペーシング(Echo Spacing)が短縮(シャッタースピードが早くなることになる)し、頚椎撮像で脳脊髄液からのフローアーチファクトを抑えるためによく使われます。しかし、ETLを増加させることで撮像時間を短縮できますが、その反面コントラスト低下が起きます。

なぜ、コントラストが低下してしまうか?特にT2強調画像の場合は、k空間に詰める信号がはじめのほうはT2値の短い信号のものになり、これがコントラスト低下の原因になります。

以前の記事でFSE法の実効TEについて以下の式の話をしました。

実効TE= Echo Spacing × k空間の中心を埋めたエコーの本数

T2 Filter効果(T2フィルター効果)について

T2WI(T2強調画像)を取得する例で考えていきます。

k-space(k空間)の充填方法:Sequentail(linear)
実効TE(TEeff):100 msec

T2 Filter効果の説明
ETL 5の場合

ではETL 5のFSE法で考えると前述した数式からエコースペーシング(Echo Spacing)が導き出せると思う。

実効TE= Echo Spacing × k空間の中心を埋めたエコーの本数
 → Echo Spacing = 実効TE / k空間の中心を埋めたエコーの本数

計算式からエコースペーシング(Echo Spacing)は 100 / 3 = 33 msec となる。k-space(k空間)を充填するTEは以下で構成されます。

33 msec, 66 msec, 99 msec, 132 msec, 165msec

T2 Filter効果の説明
ETL 3の場合

今度はETLを3にすると計算式からエコースペーシング(Echo Spacing)は 100 / 2 = 50 msecとなる。k-space(k空間)を充填するTEは以下のようになる

50 msec, 100 msec, 150 msec

T2 Filter効果の説明
T2緩和曲線

さて、エコースペーシング(Echo Spacing)がわかったのでこれをT2緩和曲線に入れ込んで考えると
ETL:5の場合、1番はじめのエコーがETL:3の1番はじめのエコーよりも短いものがk-space(k空間)に装填されます。1番はじめのエコー(T2値の短い組織)はT2緩和よりT2コントラストが小さく、ETL:5とETL:3を比較するとETLが多いほうが1番はじめのエコーの影響でがT2コントラストが悪いことがわかります。
ほかにもETL:5の一番最後のエコーをみるとETL:3よりもTEが長いのでT2値の長い組織のエコーががk-space(k空間)に装填されることもわかります。つまり、ETL:5のほうがETL:3よりもT2値の長い組織がk-space(k空間)に装填され、T2コントラストも大きいためにT2値の長い組織が強調されてしまうということもわかります。
一旦話を戻すとETLを増加させることで短いエコーの部分はT2コントラストが小さいデータとなり、そのエコーがk-space(k空間)に装填されることで、コントラスト低下につながることがわかったと思います。

T2値の短い組織のコントラストが小さく、コントラスト低下につながる
(T2値の長い組織のコントラストが大きく、強調されてしまう)

ダミーパルスでいいとこ取りだ!

ダミーパルスについて
ETL 5の場合

今度はETLが「5」を基本にしていきます(上図)。エコースペシング(Echo Spacing)はカメラでいうとシャッタースピード!前述したようにエコースペーシングが長いと脊髄撮影(頚椎や腰痛)していると脊髄液のフローアーチファクトが出てしまう可能性があります。さて、さきほどTE:100 msec及びk-空間の装填方法をsequencailと設定してエコースペーシング(Echo spacing)を算出しましたので再掲します。

実効TE= Echo Spacing × k空間の中心を埋めたエコーの本数
 → Echo Spacing = 実効TE / k空間の中心を埋めたエコーの本数
100 msec = Echo spacing × 3 → Echo Spacing = 100 msec / 3 = 33msec

k-空間に装填されるTE → 33 msec, 66 msec, 99 msec, 132 msec, 165 msec

では、アーチファクト低減のためにETLを増やしたいが、コントラスト低下を招くので対策として、ダミーパルスを使うと美味しい部分がともに取れます。ダミーパルスとは、実際に180°パルスを打つが、k-space(k空間)には装填をしないというパルスになります。

ダミーパルスについて
ETL 4でダミーパルス 1の場合

今度は上の図のようにETLを「4」とし、先頭にダミーパルスを1個入れます。180°パルスを打つ本数(ETL)は 4 + 1 = 5となります。ETL:5と180°パルスを打つ本数は代わりはありませんので、エコースペーシング(Echo Spacing)は33 msecのままとなることもわかると思います。

さて、今度はk-space(k空間)に装填されるTEを考えていきましょう。ダミーパルスはk-space(k空間)に装填されませんので以下のようになります。

66 msec, 99 msec, 132 msec, 165msec

装填されるTEの違いは簡単だと思います。「33 msec」が装填されないということになりますよね?

このようにダミーパルスを入れることでT2値の短い信号をk空間に使わないことでエコースペーシング(Echo Spacing)を変えない(今回は33msec)でコントラスト低下を防ぐことができるのがわかったと思います。
シャッタースピードが早く、T2値の低い信号は使わないのでコントラストの低下を低減できるということは結構便利さパラメータとなります。

また、デメリットとしてk-space(k空間)に装填される数が1本減りますので時間短縮効果が薄れてしまうことが上げられます。しっかりETLとエコースペーシングを調整して若干の時間短縮とコントラスト低下の低減を両立させていい画像を先生に提供していきましょう!

ダミーパルスのまとめ

ダミーパルスのまとめ
  • ETL増加によるコントラスト低下の原因は短いT2値の信号を使うため
  • コントラスト低減を避けるにはETLの減少させると改善される
  • ETLを少なくさせるとエコースペーシングが広がり、アーチファクトの出現に影響を与える
  • ダミーパルスを使用することでエコースペーシングをコントロールすることができる
  • ダミーパルスを使用することでT2値の短い信号を使わないため、コントラスト低下を低減できる
新人技師

ダミーパルス!すごいねーこれ使いこなすとMRI検査してるぞって感じするね

ラジグラ

考えた人すごいよっ!本当に

新人技師

でも、CS(圧縮センシング)のほうが便利だけどね

ラジグラ

それを言ったらおしまいよw

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