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冠動脈(心臓)CTで何がわかる?放射線技師がすぐ使えるコツ!

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冠動脈(心臓)CTのための心電図

こんにちは。@ラジグラです。CTの多列化と空間分解能、時間分解能によって、CTで冠動脈(心臓)の描出が可能になったことで一般的に撮られるようになりました。今回は、「冠動脈(心臓)CT(CTA、Coronary-CT)」をテーマにしていこうと思います。イラストを使って、コツやなにを見ているかを書いていきたいと思います。

目次

冠動脈(心臓)CTではなにがわかるの?

造影剤を注入することで冠動脈と心筋にコントラストをつけて画像化する検査ですが、画像からはなにをみるかということになります。

  • 冠動脈狭窄
  • 冠動脈の石灰化(カルシウムスコア、Agatston Score、アガストンスコア)
  • 冠動脈壁のプラーク評価(性状等)
  • 左室壁性状
  • PCI前の計測、治療計画
  • バイパスグラフトの評価
  • ステントの評価
  • 駆出率(EF)
  • 拡張末期容積や収縮期容積(EDV、ESV)
  • 一回拍出量、心拍出量(SV、CO)
  • 心筋重量

大体こんな感じでしょうか。結構見るポイントが多いですよね。そして、最近FFR-CTなどもあって注目も浴びている状態ですよね。でも、常に動いている心臓を撮影しなくてはいけません。放射線技師的には板挟みというか。。。

冠動脈(心臓)CTをきれいに撮るためには?

冠動脈(心臓)CTを撮っている放射線技師なら感じたことはあると思いますが、アーチファクトが他の検査より出やすいと思いませんか?アーチファクトの種類を挙げてみました。

  • Motion artifact
  • Streak & beam hardening artifact
  • Stairstep artifact(Banding artifact)

少しでもきれいに撮るためには心臓が止まっている位相をしっかり考えなくてはいけません。単純にHR(心拍数)を低くしてボタンを押すだと失敗することも多々あると思いますので、ちょっとしたコツをまとめていきます。

冠動脈(心臓)CTの撮影のコツって?

まずは、事前準備に時間をかけるといいと思います。では、なにをするかということですが、自分は心電図(十二誘導)を見ます。放射線技師は心電図に弱いということはありますが、このコツは心電図に弱くても大丈夫です!

冠動脈(心臓)CTのための心電図

上のイラストに心電図の波形を書いてみました。まず波形が上に凸な山から説明していきます。一つ目の山がP波、二つ目の山がR波、三つ目の山がT波となります。次は下に凸の谷を説明します。一つ目の谷がQ波、二つ目の谷がS波になります。前から順番にP、Q、R、S、Tとなります。ここまでは簡単だと思います。心電図の波形の下に左室の容積(容量)変化をグラフに書きました。赤丸印の部分がよく冠動脈(心臓)CTで使われる静止位相になります。静止位相は容積が増えたり、減ったりしてない部分を意味します。つまり、心臓が膨らんでいない、萎んでいない、動きが少ないということになります。また、上のイラストだと拡張中期のほうが静止位相が長いことがわかります。

HR(心拍数)が60辺りですと静止位相が長い拡張中期(緩速流入期:Slow Filling:SF)を使って撮影するのがベストです!βブロッカー等でHR(心拍数)を落ちない場合は、拡張中期か収縮末期かを選択しなくてはなりません。理由は下のイラストに書きますね!

頻脈の場合。冠動脈(心臓)CTのための心電図

HRが早いと上のイラストのように拡張中期(緩速流入期:SF)が短くなってしまうために、拡張中期か収縮末期か選択に迫られます。心臓の心拍が早いと収縮時間は変わらず、拡張時間が短くなるということを覚えておきましょう!

また、気をつけなくてはいけないのは、PQ時間が延長している患者さんです。その心電図を出しますね。

PQ時間延長の場合。冠動脈(心臓)CTのための心電図

PQ時間が延長している患者さんの場合、HR(心拍数)が遅くても、拡張中期(緩速流入期:SF)が短いんです。つまり、HR(心拍数)が60台でも上手く撮れないことになります。では、心電図を見ると「PQ時間」は記載がありません。そのため、「PR時間」から計算します。

PQ時間 = PR時間 ー 10msec

簡単ですよね。そして、PQ時間の危険領域は

PQ時間が170msecを超えたら、注意!(PR時間180msec)

PQ時間が200msecを超えたら、危険!(PR時間210msec)

となります。PQ時間が延長する疾患名は「房室ブロック」になります。

冠動脈(心臓)CTは時間分解能が命!

撮影前にPQ時間延長とかしている場合は、本当に気を使わなくてはいけません。さて、拡張中期(緩速流入期:SF)がどれくらいの長さなのか調べなくてはいけません。これもエクセルで計算式を突っ込んでしまえば、簡単です。

SF = -443 + 0.742(60000 / HR ー PQ時間)

SFを導き出したら、あとはX線管球の回転時間(s/rot)と比較するだけです。では、例題やってみましょう!

冠動脈(心臓)CTのコツはしっかり計算すること!

Aさん:HR(心拍数)60、PQ時間が160msecの場合は

SF(緩速流入期)= -443 + 0.742(60000/60 ー 160) = 約180msec

Bさん:HR(心拍数)60、PQ時間が240msecの場合は

SF(緩速流入期)= -443 + 0.742(60000/60 ー 240) = 約121msec

これでX線管球の回転時間が0.35sec / rotの場合、ハーフスキャンを行うと時間分解能は2で除して175msecになります。

AさんのSF(緩速流入期)が約180msecで時間分解能が175msecだと(SF > 時間分解能)、ギリギリだけど、アーチファクトが出にくいということになります。ギリギリなことのもあるので、HP(ヘリカルピッチ)を下げ、時間分解能を向上させると安心な領域になります。でも、これだけで決めてはいけません!あとで解説しますね!

また、BさんのSF(緩速流入期)が約121msecで時間分解能が175msecだと完全にアウトになってしまう。(SF < 時間分解能)そのため、セグメント再構成を考えなくてはいけません!

時間分解能グラフを活用することもコツ!

では、いろいろと考えましたが、次のポイントが装置に搭載されている時間分解能のグラフになります。とても役に立ちます!今回は東芝:Aquillion64を使います。

Aquillion64 時間分解能

縦軸はTRcは時間分解能になります。X線管球の回転時間は0.35sec/rotがピンクで、0.375sec/rotは黄色です。HR(心拍数)が60のときは見づらいですが、0.375sec/rotのほうが時間分解能がいいです。HP(ヘリカルピッチ)を動かさなくても時間分解能グラフより0.375sec/rotが選ぶことが出来ました。どうしてもだめな場合は、HP(ヘリカルピッチ)を動かしましょう!

冠動脈(心臓)CTのコツ・ポイントのまとめ

記事をまとめると以下の様なことに気をつけるといいですね。

  • 心電図でPQ時間をチェックする
  • 房室ブロックの患者さんは注意が必要!
  • PQ時間が170msecを超えたら、注意!(PR時間180msec)
  • PQ時間が200msecを超えたら、危険!(PR時間210msec)
  • 緩速流入期:SF(Slow filling)を求める!
  • SF = -443 + 0.742(60000 / HR ー PQ時間)
  • 装置に搭載されている時間分解能グラフを活用する!

CT画像は全然出ませんでしたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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冠動脈(心臓)CTのための心電図

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