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腸閉塞の閉塞起点を探す!診療放射線技師ができるCT画像活用術!

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新人技師

CTで腸管が拡張してるー

ラジグラ

まず、閉塞起点があるか確認していこうか

腸管が拡張していると様々な疾患が想定されて、CT画像を読解していかなくてはなりません。その中でも代表的なのが「腸閉塞(Intestinal Obstructuion)」が挙げられると思います。さて、この腸閉塞ですが、閉塞起点を探すのがとても厄介で難渋することが多いと思います。そこで今回は閉塞起点を探すコツについてやっていこうと思います。

目次

腸閉塞ってなに?分類は?


腸閉塞は、腸管の内容物が正常に通過できなくなる状態です。その分類は以下のようになります

腸閉塞の分類

  • 腸閉塞
    • 機械性
      • 単純性:血流障害を伴わない閉塞。
      • 複雑性(絞扼性):血流が阻害され、腸管が壊死するリスクを伴う閉塞。
    • 機能性
      • 麻痺性:腸管運動が低下または停止。
      • 痙攣性:異常な腸管収縮による閉塞。

ここでいつも難渋するのが「機械性腸閉塞」であり、閉塞起点があるものだと思います。「機能性腸閉塞」の場合だと閉塞起点がないのでイレウスということにつながってきます。また、機械性腸閉塞で「単純性」と「複雑性(絞扼性)」に分けられますが、これは血流があるかないかなので造影CTをしていればある程度わかると思います。そして、腸閉塞のイメージはこんな感じになると思います。

腸閉塞の閉塞起点を探すヒントとは?

機械性腸閉塞
機械性腸閉塞のイメージ

閉塞起点を探すのに、肛門側もしくは口側から順に腸管を追うことは労力が結構必要になってきます。おそらく上の画像のイメージの状態を探すのだと思います。しかし、時々ヒントが隠れていることがあります。そのヒントを上の画像に入れ込んでいきます。つまり、上記のイメージでは流すのが大変になるということです。そのため、もう少し必要な解剖を入れ込んでいきます。

機械性腸閉塞
腸閉塞のイメージに腸間膜を追加

腸管は「辺縁動脈」および「直動脈」より栄養されており、そこには「腸間膜」が付随しています。これが必要な解剖になります。

バンド(索状物など)で腸閉塞が起こると腸管の内容物が肛門側に流れなくなります。どんどん時間が経過すると腸管が拡張され、バンド内を通る腸管だけでなく、血流も阻害されてきます。ここでさきほどの腸間膜が腸間膜浮腫を起こしてくるということになります。これが閉塞起点を探すヒントになる場合があります。ヒントは動静脈(赤&青)がバンドに向かって収束してませんか?腸間膜も同じ様にバンド(索状物など)に収束するようなCT画像になります。つまり、収束した先にバンドがある可能性があるということになります。これをしっかり押さえてCT画像を確認していきましょう。

腸間膜浮腫の収束している方向を見極めてその中心点に閉塞起点がある可能性がある

腸閉塞の病態を理解する

腸閉塞の病態
病態
病態1期

腸管の拡張

病態
病態2期

腸間膜静脈拡張
腸間膜浮腫
腹水

病態
病態3期

腸管造影効果減弱

病態
病態4期

腸管壁濃度上昇
腸管壁気腫
門脈内ガス

病態1期では、まず腸管の拡張が始まってきます。段々とバンドの中が腸管拡張のせいで腸間膜や脈管の通りが悪くなってきます。病態2期では、腸間膜浮腫や腸間膜静脈が拡張していきます。腸間膜浮腫はCT上では脂肪式濃度上昇として認識でき、造影CTなら脂肪織濃度上昇のなかに静脈拡張などが観察できると思います。どんどん血流障害がでてきますので、病態3期では、腸管の造影効果減弱(血流障害の可能性)が発生し、病態4期では腸管が壊死した可能性を示唆する腸管壁濃度上昇(単純CT)や腸管壁気腫が認められるようになります。

腸閉塞の症例で実演

Case courtesy of Kenny Sim, Radiopaedia.org, rID: 35190

では、症例画像です。腸間膜が浮腫しているのがどこかわかりますか?

腸閉塞に付随して腸間膜浮腫が認められる
Case courtesy of Kenny Sim, Radiopaedia.org, rID: 35190 改変(腸間膜浮腫)

腸間膜浮腫は病態で説明したように脂肪織濃度上昇として認められます。上図では、赤丸部分になっています。ここからヒントである向かっている先を確認するという作業が必要になってきます。

腸閉塞で腸間膜浮腫がある場合は、中心点を探す
Case courtesy of Kenny Sim, Radiopaedia.org, rID: 35190 改変(中心点)

さて、今回の症例は上図のように矢印の方向に腸間膜や動脈・静脈が寄っていることがわかります。あとはこの寄った部分を確認することで閉塞起点を探しやすくなりますので、中心点周囲を探しましょう

腸閉塞の閉塞起点
Case courtesy of Kenny Sim, Radiopaedia.org, rID: 35190 改変(閉塞起点)

中心点を観察していきます。TRA画像(横断面)では、お団子になった腸管が確認できますがこれでは閉塞起点と言い切れません。こんなときは多断面観察が重要となってきます。COR画像(冠状面)で確認すると上から下に流れる腸管が急峻に狭まっていることがわかり、Beek sign(くちばし状の狭窄)が認められます。つまり、ここが閉塞起点・狭窄部位であるということが示唆されます。また、腸管壁がしっかりと造影されていますので、病態は2期ということも合わせて確認していきます。結構簡単に探せる方法の一つにしてはいかがでしょうか?

腸閉塞の閉塞起点を探す!ヒントまとめ

さて、正しく解剖を理解してどのような状態であるかわかれば、直接閉塞起点を探さなくても、二次所見、今回は腸間膜浮腫と脈管の流れで閉塞起点を探すことができることがあります。

腸閉塞の閉塞起点を探すコツ

  • 腸管の拡張を認めた場合、腸間膜浮腫などの二次所見を探す
  • 腸間膜浮腫や動脈・静脈が集まる中心点を同定する
  • 同定した中心点を多断面観察を行う

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