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画質と撮像時間は常にトレードオフ!だから、信号強度について考える

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ラジグラ

こんにちは、前回Spin Echo法(以下:SE法)のT2強調画像(以下:T2WI)について、ざっくり繰り返し時間(以下:TR)を説明したよ!

新人技師

ざっくりというか値を出しただけですけどね。丸暗記的な感じでもう少し知りたいんですけど!

ラジグラ

え!?もう少し突っ込んだ方がいい?

新人技師

話だけは聞くけど、理解できるかは…

目次

TRについてざっくりで不安に覚えた人もいる!

前回、TRについて以下のように暗記事項的な説明をしました。

T2WI(T2強調画像)TR → 2500 から 5000 msec
T1WI(T1強調画像)TR → 400 から 600 msec

撮影時間の数式からTRを短くすることで、時間短縮ができることも説明しました。

SE法の撮像時間の数式

撮像時間=TR(繰り返し時間) × Phase Matrix(位相数) × NSA(加算回数)

もちろん、TR短縮はコントラスト減少のトレードオフになりますので、「TR5000 msecから3000msecにして大丈夫?」と考えた人もいると思います。ここからは小難しい話で数式の話になってしまいますが、数式から求められた値と実際の画像をみて納得していただければなと思います。

SE法の信号強度はこう求める!

信号強度の数式は以下のようになり、心の中でわからねーと叫んでください!自分もそうでしたw

信号強度の数式

SE(Spin Echo)法の信号強度 = ρ × ( 1 – e(-TR/T1)× e(-TE/T2)

ρ:プロトン密度

TR:繰り返し時間

T1:物質のT1値

TE:エコー時間

T2:物質のT2値

本当にここは混乱の原因にもなるので、さらっといきますよ!結果だけでもいいと思います!

*e(exp)が指数計算なので、もうよくわかりません!ってなりがちなので簡単なポイントだけ押さえておきましょう!

簡易的にeは近似値が2.7。(-TR/T1)と(-TE/T2)部分は指数になりますので、指数が0(マイナスがあるので-5→-3という意味)に近づけば近くほどe(-TR/T1)とe(-TE/T2)部分が「1」に近くなる

信号強度から考えるTRについて(結果)

TR 5000 msec TE 120 msec で撮像した場合とエコー時間(以下TE)を固定してTRを可変して3000 msecにした場合で計算をしてみましょう。撮影部位は頭部とします。となると大切になるのは白質と灰白質になります。白質のT1値は 760msec、 T2値は 80 msecとなります。灰白質のT1値は 1100 msec、T2値は 90 msecになります。数式に入れ込んでいきましょう!

スクロールできます
信号強度TR
5000 msec
TR
3000 msec
TR
1000 msec
コントラスト信号減衰(率)
白質0.22280.21880.16330.03800.0040
(1.8 % 減)
灰白質0.26080.24640.15740.0276
(27.4 % 減)
0.0144
(5.5 % 減)
TR変更における白質と灰白質の信号強度について

まず、表の見方ですがコントラストは灰白質・白質の差としています。減衰率はTR 5000 msecと 3000 msecの差を意味しています。

さて、一番はじめに見て欲しい部分は、「TR 1000 msec」になりますね。普段T2WIで見ていると白質よりも灰白質の方が白く(高信号)に見えていると思いますが計算値でみると白質の方が信号強度が高くなっています。つまり、T2WIの画像ができないということはわかったと思います。なので、前回記事の中でT2WIはTR 2500 から 5000 msecでと記載した意味が合致すると思います。

次に注目する部分は「信号減衰」です。灰白質も白質も信号強度が減衰しているのがわかりますが、約5%程度なので目視では確認できないレベルかなと。そして、この許容範囲でみる「コントラスト」は?ということになります。信号強度的には大丈夫でも、コントラストは約27%も落ちることになります。

実際のT2WIの画像で確認

コントラストが計算上では約27%落ちることがわかりました。では、実際の画像でみるとどうでしょう?いろいろな要因を度返しで単なる画像比較にはなりますが、約27%落ちるコントラストも大丈夫かなということが体感できたと思います。画像の好き嫌いもあるので、なかなかこの二つの画像だけで全てをいうのも難しいところでもあります。

TRの違いによる灰白質と白質のコントラスト

TR変更での信号強度のまとめ

ということで、難しい数式も出しましたが、結果だけみてと納得できた人が増えたのではないかなと!では、まとめは下のようになります!

TR変更での信号強度のまとめ
  • 信号強度= ρ × ( 1 – e(-TR/T1)× e(-TE/T2)
  • 信号強度の計算は指数計算(e)があってよくわからん!
  • TRの変更(短縮)で信号強度の低下がわかった
  • TRの変更(短縮)でコントラストの低下がわかった
  • 極度なTR短縮は、T2WIの信号強度のずれ(灰白質・白質の逆転)がわかった
新人技師

数式の理解は難しいね!結果と画像だけ見てなんとなくってことで!

ラジグラ

でしょ!!MRIの理解への道が難しいことがわかったと思うけど、ある程度の操作していくレベルにはいけると思うよ!

新人技師

つまり、T2WIのTRは2500から5000 msecで撮像すればいいってことね!

ラジグラ

結局丸暗記かいー!!あとこれはSE法の話ということも大切!

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