こんにちは。@ラジグラです。今回は、新しいシリーズとして「心電図(ECG、EKG)」をやっていこうと思います。ちょっと画像診断からははなれてしまいますが、心臓CT、心臓MRI、心臓エコーなど心臓の検査を多くする放射線技師にとって、理解していれば検査にも役に立つと思います。放射線技師にとってはとっつきにくく、遠い存在の心電図ですが、基本を理解すればある程度なら簡単に読めるようになります。読めるようになることで、検査でのターゲットとする壁だったり、異常にとても敏感になることができます。当サイトでも心電図を読むことで心臓CTに強くなれることを書きましたので、参考に!
[心電図・基本1]刺激伝導系を覚えよう!
結構、刺激伝導系がわからないことが原因で心電図が理解できないで苦しんでいる放射線技師さんがいます。実はとても重要で、これをしっかり押さえることでのちのちの疾患の鑑別などに役に立ちます。刺激伝導系とは、洞房結節から発生した刺激(心拍のリズム)をあたかも神経のように心臓全体に伝え、拍動を行わせることです。
では、刺激伝導系の順番を覚えていきましょう。
- 洞房結節
- 房室結節
- ヒス束(His束)
- 左脚・右脚
- プルキンエ繊維(Purkinje繊維)
これがとても重要な順番でこの順番が間違ってしまうと全てが狂ってしまいますので注意してくださいね。
[心電図・基本2]刺激伝導系をイラストで理解する!
刺激伝導系をイラストで解説していきます。下にあるイラストは心臓を簡単に模式的に表したものと考えてくださいね!実際には、大動脈・大静脈・肺動脈・肺静脈・僧帽弁(M弁)・肺動脈弁(P弁)・三尖弁(T弁)・大動脈弁(A弁)がありますが、全部割愛しています。そして、下が心尖部になります。
右房にある「洞房結節」より発生した電気は、「房室結節」に向かって流れていきます。その一方で「左房」にも流れていきます。このときに心房が収縮(興奮・脱分極)します。つまり、簡単にいうと電気が房室結節にたどり着けば、心房が収縮していると考えます。(ちょっと語弊はあるが…)
今度は「房室結節」から「His束」「左脚・右脚」に流れていきます。このときは、心臓は収縮していません。「Purkinje繊維」へ向かって伝導しているだけになります。
最後に「Purkinje繊維」から「右室・左室の心筋」へ伝導されて、心室が収縮(興奮・脱分極)します。そして、最後に心筋の興奮がさめて「再分極」という現象がおきます。
[心電図・基本3]心電図の波形を刺激伝導系と合わせて理解する!
おそらくほとんどの方は心電図の波の名前は知っていると思います。「P波」「Q波」「R波」「S波」「T波」ですよね!単純に一個目の波を「P波」と覚えてしまうとあとで痛い目にあいますので、下のように覚えると後で楽になると思います。
- 1個目の山の波を「P波」
- 1個目の谷の波を「Q波」
- 2個目の山の波を「R波」
- 2個目の谷の波を「S波」
- 3個目の山の波を「T波」
そして、刺激伝導系を波や間で説明をすると
- 「P波の前」→洞房結節で電気が発生
- 「P波」→心房の収縮
- 「P波の後ろ」→房室結節に電気が伝導
- 「PQの間」→His束・左脚・右脚の伝導
- 「QRS波」→心室の収縮
- 「T波」→心室の再分極
となります。結構誤解し易い部分は、洞房結節で発生したら、P波が出ると思い込んでしまうところですね!心房が収縮(興奮・脱分極)してP波が発生になります。
[心電図・基本4]心臓の解剖と刺激伝導系と心電図をまとめると!
では、解剖と刺激伝導系と心電図を一気にイラストにまとめてみました!わかりづらくて申し訳ないです…
この刺激伝導系で規則正しく電気が流れることで、「P・Q・R・S・T波」が発生して、これが一定のリズムで、さらに波形をしっかりでていることを「正常洞調律(Sinus Rythm)」といいます。よく「サイナス」とか「サイナリズム」とも言われます。逆になんらかのリズム異常があれば、「不整脈」といいます。
そして、次は「心電図12誘導」について記事を書きました。12誘導も心電図の基本で、検査時にわかればターゲットとなる心筋区域がわかるようになります。
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