こんにちは。@ラジグラです。
本当にこのブログで肺疾患についてばっかりやっていますが、なかなか次の部位に行けなくて更新のスピードを上げていかないといかんなと最近思っています。やりたいことはたくさんあるのに。。。
今回は前回記事でちょっと話をした空洞化に関するメカニズムとそのすごい機能をテーマにやっていこうと思います。
参考記事 肺紋理を覚えると胸部レントゲンの読影が楽になる!
まず、空洞形成する疾患について
これは代表的なものをあげていきます。
- 扁平上皮がん
- 肺結核
- 非結核性抗酸菌症(NTM)
- 多発血管炎性肉芽腫症(Wegener肉芽腫症)
- 真菌症
- 敗血症性肺塞栓症(septic pulmonary embolism:SPE)
自分は空洞化をみたらこの6つを念頭に考えていきます。この空洞形成というのは本当にすごいメカニズムでぜひとも知ってもらえると嬉しいです。
*SPEにつきましては2020年6月8日にご指摘をいただき、追記しました。
空洞化のメカニズム
まず、上記の肺疾患が発病し、病変部もどんどん成長をしていきます。下のイラストだと黄色い部分が病変です。
成長が続き、ある程度の大きさになると中心部分は低酸素状態になり、中心部分は壊死し始めてきます。つまり、病変にとっては酸素も足りない、腐ってきてしまうというマイナスのことばかりです。
困った病変は細気管支との交通を使って、壊死しはじめた部分や病変を気管支を通じて排出をし始めるんです。排出された病変は痰等になります。つまり、喀痰検査はこの痰を診るわけです。
さらには中心まで酸素が届くようになりますのでまた成長スピードを早めるわけです。そして、細気管支に排出されたもののなかには病変(低酸素状態ではない)もあり、それがまわりに飛沫し広範囲に病変が広がっていきます。すごすぎるメカニズムだ!
このメカニズムは乾酪物質を出して、壊死をする、気管支との交通があるのが条件です。やっぱりすごいなぁこのメカニズム!
各肺疾患の特徴
上に挙げた6つの疾患である程度鑑別をしていかないといけません。
鑑別する際に特徴を押さえとけば鑑別は出来ると思いますが、確定診断には至らないので他の検査にお願いしましょう。
まず、空洞化されている部分の壁を見ます。基本的に壁が厚かったりする場合は「扁平上皮癌」を疑います。前回の記事でも言ったように肺動静脈を確認したいです。ちょっと話はズレますが扁平上皮癌と似ている小細胞癌を鑑別するときには肺門リンパ節や縦隔リンパ節等が塊になっている病変は小細胞癌を疑っていきます。
次に好発部位から考えていきます。
肺結核は基本的に好気性(酸素を好み)であり、酸素濃度の高い上肺野の方が発育環境が整っています。さらに肺血流は重力の関係で中肺野、下肺野に多いので上肺野は免疫が届きにくいこともあります。
この胸部単純レントゲンで右肺の説明読んで、気付いた人いるかな?左肺に空洞化を形成する陰影見えました?
中葉や舌区(S4,S5)が好発部位なのは非結核性抗酸菌症(NTM)ですね。連動して覚えて欲しいのは右第2弓、左第4弓のシルエットサインが陽性になるということ。下の胸部単純レントゲンでは右第2弓シルエットサイン陽性です。
多発血管炎性肉芽腫症(Wegener肉芽腫症)だと全身症状があったり、両側にびまん性に淡いすりガラス影がある感じですね。難病指定されているのでなかなか遭遇することはないですよね。
真菌症は例としてアスペルギローマを挙げさせていくと空洞の中に病変を形成する三日月サイン(air crescent sign)というものがあります。ここの真菌症辺りもいつか詳しくやりたいなと思います。
今回は、えらい長くなってしまいましたが、空洞化のすばらしいメカニズムを知ってもらえたらこの記事の役目はほぼ達成かなと思います。
では、このへんで!
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