こんにちは。@ラジグラです。今回は、「心電図(ECG)12誘導」を中心にやっていきます。12誘導を理解することは、検査時の心電図モニタのパッドをつけるときに考えてつけれるようになり、さらには心電図(ECG)で心筋梗塞を疑う異常があった際、どこの心筋が異常なのかとわかることで、検査時のターゲットを考えれるようになります。放射線技師にはつらい、遠い存在の心電図ですが、少しずつ基礎をやっていきますので、おつきあいください!
そして、文中のタイトルにある数字(心電図・基本○(丸部分))は、シリーズでやっていますので、統一してカウントアップさせています。前回、第1回目だったので、参考にどうぞ!
[心電図・基本5]心電図(ECG)12誘導ってなに?
心エコーや心臓MRIやる際には、心電図をみることありますか?自分は、見る派ですが、波形が十二個記載されていて、しかも、どれも似た波形で「どこが異常かわからない…」ってなりませんか?この似た波形から異常を探すことは至難の技だと新人のころは思っていました。12誘導は「四肢誘導」と「胸部誘導」で成り立ち、「四肢誘導」が6波形、「胸部誘導」が6波形で合わせて、12波形(12誘導)ということになります。
表記についてですが、四肢誘導は「Ⅰ誘導、Ⅱ誘導、Ⅲ誘導、aVR誘導、aVL誘導、aVF誘導」、胸部誘導が「V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導」となっています。
[心電図・基本6]四肢誘導を捉え方
四肢誘導の前に、まず心臓の電気ベクトルを考えてみましょう。前の記事でやった「刺激伝導系」を思い出してください。「洞房結節から心尖部」に向かって、電気がながれていきますので、イラストのようにベクトルは右下に向いていることになります。あとでこれを使うので一旦、本題に戻りますね。
では、四肢誘導からやっていきます。四肢誘導は、基本「右手・左手・左足」に電極を付けて取れる誘導になります。電極の付け方の覚え方は「右手・左手・左足」の順番で「あ・き・み(赤・黄・緑)」と私は覚えています。下のイラスト(左)に四肢誘導をつけました。
そして、刺激伝導系の一番の始まりは「洞房結節」になります。心臓の中で右上。つまり、四肢誘導も同じように右上となる「赤」を開始位置とします。赤より各点に向かって矢印を引いて、黄から緑に向かって残りの矢印をひきます。それが、下のイラスト(右)になります。
それぞれの矢印に名前がついています。それが「Ⅰ誘導」「Ⅱ誘導」「Ⅲ誘導」になります。そして、心臓のイラストの上に前述した心臓の電気ベクトルを乗せました。よくみるとⅡ誘導のベクトル方向と心臓の電気ベクトル方向がほとんど同じことに気付きませんか?ということは、心臓の電気ベクトルを如実に表しているのは「Ⅱ誘導」ということになります。そのため、心電図を見るときには、まず「Ⅱ誘導」をみることを私は勧めています。
また、検査機器についている心電図モニタは大体「Ⅱ誘導」を使っている理由は、このためです。逆に考えると電極をつける際には、このⅡ誘導を気にして貼ることでキレイに波形が取れるということにもなります!あと検査機器によっては、誘導を選べるのもあるらしいです。
各辺から対角にある「赤・黄・緑」に向かって矢印を引きます。左に向かえば、aVL誘導のLが連動するイメージです。これで四肢誘導の「aVL誘導・aVF誘導・aVR誘導」が完成し、四肢誘導の6誘導が完成です。そして、上のイラスト(右)の説明になります。心臓の下壁に近いのは、緑点になりますよね?つまり、緑点に向かう「Ⅱ誘導、Ⅲ誘導、aVF誘導」は心臓の下壁に異常があると波形にでます。同じように考えましょう。心臓の左室側壁に近いのは、黄点ですよね?黄点に向かう「Ⅰ誘導、aVL誘導」は心臓の左室側壁に異常があると波形にでます。
残った「aVR誘導」はなにを示すのか?というお話ですが、イラストからわかるように心臓のベクトルとは真逆になりますので、波形も完全にひっくり返った状態になります。そのため、誘導の電極がしっかり正しい位置にあるのか確認するのに使ったりします。
[心電図・基本7]胸部誘導の捉え方
残りの6誘導をやっていきましょう。この残った誘導を「胸部誘導」といいます。下のイラストのように胸部に6つの電極を付けます。覚え方は四肢誘導に似ているのですが、「あ・き・み・ちゃん・こく・し(赤・黄・緑・茶・黒・紫)」という順番でつけていきます。
今度は、どの誘導がどの心筋の異常を捉えやすいか考えていきましょう。先程と似てはいるのですが、今度は各誘導に近い心筋で捉えましょう。つまり、下のイラストのようにV1誘導・V2誘導は右室となります。他にも左室前壁がV2誘導・V3誘導・V4誘導と考えていきます。CTで心臓の解剖さえわかれば、簡単ではないですか?
[心電図・基本8]四肢誘導と胸部誘導の12誘導の目標となる心筋をまとめると
今回、心電図の電極の位置でターゲットとなる心筋の原理がわかったと思います。では、四肢誘導と胸部誘導を合わせた12誘導がどこの心筋をみているかまとめてみました。
- Ⅰ誘導 → 左室側壁
- Ⅱ誘導 → 左室下壁
- Ⅲ誘導 → 左室下壁
- aVL誘導 → 左室側壁
- aVF誘導 → 左室下壁
- aVR誘導 → Ⅱ誘導の真逆になる
- V1誘導 → 右室
- V2誘導 → 右室・左室前壁
- V3誘導 → 左室前壁・心室中隔
- V4誘導 → 左室前壁・心室中隔
- V5誘導 → 左室側壁
- V6誘導 → 左室側壁
まとめてみるとわかることは、心電図の各誘導のなかに「後壁」がないことがわかります。詳しく話すとみれなくもないのですが、基本的に心電図は後壁が弱いということになります。
心電図の波形については全然説明していませんが、前より心電図がわかった!と思えた方がいれば、記事を書いてよかったと思います。
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