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すりガラス陰影(GGO)は間質性肺炎だが、肺腺癌の疑いでもある!メカニズムから覚えよう!

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こんばんは。@ラジグラです。前回の記事が胸部レントゲン(X線)の読影方法のまとめだったのですが、あまりの反響に驚いています。
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本当に読んでくださった方々、「いいね!」を押してくださった方々ありがとうござます!感謝、多謝!感激!
 参考記事  [必見]これが私のする胸部レントゲンの読影方法だ![完全保存版かも]

というわけで年明けに講師をやるのでそこまでまた記事をせっせと書いていこうと思います。で、問題はテーマなんですが、悩んだ挙句、肺炎シリーズに戻ってきました。

以前の記事で間質性肺炎のメカニズムを記事にしましたが、すりガラス陰影(GGO、GGN)ってフォローアップでCT撮影しませんか?間質性肺炎のようにも見えますが、すりガラス陰影(GGO、GGN)は肺腺がんの可能性もあります。イラストを使って丁寧に説明してきます!胸部レントゲンでは余程大きくならないとわからないんですよね。やはり、CT検査のすごさがわかります!今回は、すりガラス陰影の癌をテーマに記事を書いていきます。

目次

間質性肺炎で小さいものは注意が必要な理由は?

別に炎症で間質性肺炎が起きているだけなら問題はないんです。でも、すりガラス陰影(GGO)を呈する疾患って結構あるんです。

  • 間質性肺炎
  • 浸潤性粘液産生性腺癌
  • 旧・細気管支肺胞上皮癌(BAC)
  • 肺胞上皮置換型優位浸潤癌(LPA)
  • 異形腺腫様過形成(AAH)
  • 上皮内腺癌(AIS)
  • 微小浸潤腺癌(MIA)

ざっと挙げるとこんな感じになります。疾患名だけみると「○○癌」とか並んでますね。さらにはガイドラインからの抜粋にはなりますが、10mm(GGO)を超えるものは原則、確定診断を行うと記載があります。それまでは定期的にフォローアップをしていきます。
 参考URL  低線量 CT による肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方 第3版

まずはおさらい!間質性肺炎のメカニズム

間質性肺炎のメカニズム
何度もこの図を使って説明しているので、今までの記事を読んでる方が「そうそう!それそれ!」となってくれると嬉しいです。
間質性肺炎の名前のまま、間質部分が炎症等を起こしているのを間質性肺炎といいます。そして、炎症等の起きる間質には2種類の意味がありますよね?

  • 狭義の間質(肺胞の外周)
  • 広義の間質(小葉構造の外周)

上図の右の小葉構造で青い部分が炎症が起きています。肺胞は炎症が起きていないので空気を含んでいるので炎症もすりガラス影になるわけです。では、GGOの鑑別で挙げた疾患との違いは炎症なのか肺胞上皮置換型の変性なのかという差なんです。わかりやすくするために実質と間質をもっと拡大してみてます。
間質性肺炎のメカニズム
上図の右側は間質部分が炎症を起こして、繊維芽細胞(fibroblast)が産出されて肥厚しています。ここまではいままでのおさらいですね。
 参考記事  [肺シリーズ7][肺炎シリーズ2]肺炎を見極めろ!今回は間質性肺炎を理解しよう!すりガラス影だ!

肺腺癌は肺胞上皮置換型の変性がキーポイント

前述したように炎症なのか肺胞上皮置換型の変性なのかという点が今回のキーポイントです。これもイラストで図説します。
肺腺癌のメカニズム
肺腺癌は基本的に肺胞上皮置換型といい、肺胞隔壁に沿って進展をする形態が特徴です。上図の左のピンク色の細胞がそれにあたります。イラストで見てわかるように肺胞にまだ空気がありますよね?なので肺腺癌もすりガラス影になります。

イラストだと別物とわかるのですが、間質が肥厚しているのか肺胞上皮置換の肺腺癌が肺胞隔壁を進展しているのか画像上では差はわかりません。どちらもGGOとしてCT画像に描出されます。だからこそ、すりガラス陰影があったときには、間質性肺炎なのか肺腺癌なのかという点はとても重要な鑑別ポイントになります。

GGOの分類について

というわけで10mm以下だと差がわからないのですが、大きく成長をしてくると肺胞上皮がどんどん置換され肺胞の中に充満していきます。その形態を分類していきます。
GGOのカテゴリー

  • 均一なすりガラス陰影:pure GGO、pure ground-glass nodule(GGN)
  • 一部軟部組織吸収値を含むすりガラス陰影:mixed GGO、part-solid
  • 軟部組織吸収値を呈する陰影(solid nodule)

半年でpure GGOからmixed GGOになった症例を提示します。ちゃんとメカニズムがわかると画像の理解もぐぐっと増します!
AAH

肺腺癌といえば、野口分類!

もうこれは避けて通れないので病理の分野にはなりますが、せっかくなのでCT所見と疾患名を野口分類に当てはめてみました。
まずは野口分類から

  • type A:線維化巣を伴わない限局性細気管支肺胞上皮癌
  • type B:肺胞虚脱型の線維化巣を伴う限局性細気管支肺胞上皮癌
  • type C:線維芽細胞の増生を認める限局性細気管支肺胞上皮癌
  • type D:充実破壊性に増殖する低分化型腺癌
  • type E:気管支への分化がみられる管状腺癌 腺房型腺癌
  • type F:圧排性、肺胞上皮非置換性に増殖する乳頭型腺癌

そして、5年生存率ではtypeAとBは100%であるということ!なので、しっかりフォローアップしてHRCTを行って早い診断を出来るようにするのが技師の役目だと思います。
では、GGOとあわせて行きます。type D以降は充実性腺癌の話になるので合わせるのはtype Cまでとなります。

分類 病理の説明 腺癌の分類 画像の分類
異形腺腫様過形成(AAH) 5mm以下の
pure GGO
type A 線維化巣を伴わない
限局性細気管支肺胞上皮癌
上皮内腺癌(AIS) 3cm以下の
pure GGO
type B 肺胞虚脱型の繊維化巣を伴う
限局性細気管支肺胞上皮癌
上皮内腺癌(AIS) 3cm以下の
part solid GGO
type C 線維芽細胞の増生を伴う
限局性気管支肺胞上皮癌
(5mm以下は微小浸潤癌)
微小浸潤腺癌(MIA)
もしくは
肺胞上皮置換型優位浸潤癌(LPA)
3cm以下の
part solid GGO
充実部は
5mm以下
もしくは結節

おそらくスマホから見ている方は表が綺麗に見えないので画像で見てください。
野口分類とGGO

GGOのすごいところ!

昔からGGOは「肺腺癌」と経験などからわかっていたが、2004年に肺がんのEGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異が発見され、EGFRは肺胞上皮置換性増殖をする癌に頻度が高いということが発見されたんです。つまり、過去の知見を分子生物学的に裏付けをしたことになるんです。ということで自分はCT検査でわかるGGOになにか歴史を感じるんです。もちろん、この発見により分子標的薬等も作られるようになりました。
そして、最後にGGOのトピックス含めたGGOを多角的に見る方法も紹介したいと思います。

GGOから浸潤傾向を読み取れ!

GGOから浸潤傾向
上図のイラストからわかるように「充実部分の最大径:C」と「腫瘍の最大径:T」としたときに20mm以下の腺癌ではC/T比が0.25なら98.7%の特異度で病理学的非浸潤がんと合致したんですね。また、肺葉切除が多かった術式(ちょっとだけ負担が大きい)もC/T比が0.25以下の肺がんに対して部分切除(負担が軽い)の第2相試験を通る見込み。C/T比が0.25以上もすでに第2相試験は開始されて、結果待ちである。患者負担の少ない術式に変わりそうな未来が見えてきました。その中さらなるCTの存在意義がまた大きくなったと思います。
見落としそうになったGGO
今回もかなりのボリュームになりましたが、GGOについて書けるだけ書きました。最後までお付き合いありがとうござました。

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Lung Nodule Followup Guidelines
カテゴリ: メディカル
現在の価格: 無料

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